「Domani」登場の「世田谷ママ」はなぜキャラが薄い!? オシャレな街の知られざる凡庸さ
続いては特集の「10日間で(頑張らずに)かっこいいママになる10の法則。」です。
「Domani」の言う“かっこいいママ”の定義が気になって読んでみると、その法則は「会社帰りにバーニーズ、エストネーションで買い物をしている」「体がきれいに見える服を知っている」「海パンをショーパン代わりにしている」「かばんを夫婦でシェアしている」「ファストファッションをかしこく選んでいる」等、ファッション絡みばかり。「かっこいいママになる」というよりは、「かっこいいママコスプレ」のための10の法則といった感じでした。
しかも、よく考えてみれば、どれも別にママでくくらなくてもいいような内容ばかり。「ママ」というレッテルの難しさを感じます。男性ものの海パンをショーパン代わりにして街ではく、というのだけは、一体どんな気持ちになるのか、少しやってみたいと思いました。
キャラが薄い世田谷ママ
毎号注目している連載読み物「実録!? 東京23区・働く母の生態ファイル」。今回取り上げられているのは世田谷区です。三軒茶屋、下北沢、二子玉川……と、地名を並べるだけでおしゃれ感が漂う地に住むママにインタビューを行い、その生態を紹介しています。
ですが今回、最も多く発言が取り上げられている人物は、インタビュー取材に向かう途中に乗ったというタクシーの運転手のおじさん。世田谷情報を豊富に提供してくれ、ライターも「もうこれで世田谷区の取材できたんじゃない? というくらいの情報量。すごいよ、運転手さん」と書いています。
その後、数人の世田谷ママのインタビューも載っていますが、これまでのギラギラした港区ママや豊洲タワマンママに比べると、みんなキャラ弱め。世田谷区に住むメリットを聞いたところ、なんと全員が「おいしいお店がいっぱいなところ(ハート)」と答えたそうです。え、そこだけ?
「私は、座敷がある居酒屋が好き。リラックスしてワイワイ飲めますから」(Dさん)との声が紹介されていますが、そのような居酒屋は日本中どこにでもあるということを、もしかしてDさんは知らないのでしょうか。
そのほかにも「パルシステムやオイシックスを活用中」「(スーパーマーケットの)オオゼキがあるかないかで日々の食材の質が変わる」など、世田谷色の薄いエピソードが続きます。オオゼキは世田谷区だけではなく、板橋区にだって江戸川区にだって、なんなら府中にだって千葉の市川にだってあります。
今回インタビューしたママのうち7割が、実家も世田谷区内だそう。代々お金持ちという余裕がこの大らかで薄いキャラを形成し、さらに「世田谷という場所だけが地球」という世界線で生きることを可能にしているのかもしれません。
(島本有紀子)