コラム
オンナ万引きGメン日誌

ラブホテル街で避妊具を万引きした40代女性……連れの男とのド修羅場に、Gメン震撼!

2019/07/13 19:00
澄江

(早く捕まえて、楽になりたい)

 その一心で閑散とした店内の巡回を始めると、1時間ほど経過したところで、肩に提げたトートバッグに手を差し入れている中年女性を発見しました。一見して40代前半くらいに見えますが、胸やお尻の形が強調された黒のワンピースに赤いハイヒールという典型的とも言える水商売風の服装が、その年齢を不詳にさせます。髪の毛も茶色で、お顔を確認すれば、秘書を暴行して問題になった元女性議員さんに似ておられました。男好きのするいい女と言えば聞こえはいいでしょうが、正直なところ昔で言う“尻軽女”といった雰囲気で、私の苦手とするタイプです。

(何を出したのかしら……)

 遠巻きに行動を見守っていると、トートバッグから出された手は握られたままで、なにかを取り出したように見えます。不審な動向を見極めるべく追尾を続ければ、ドラッグコスメのコーナーでいくつかの化粧品と0.01ミリの避妊具、マッサージオイル、それに続けて一番高価なユンケルをカゴに入れた彼女は、この店一番の死角と言える狭い通路に向かっていきました。すると、カゴの中にある商品を左手で掴んだ彼女は、右手に握っていたらしい小型カッターの刃を使って、いくつかの商品に貼られている防犯シールを切り裂き、それらを次々とトートバッグに隠していきました。防犯シールは、小さく丸められて、最終的にはキャベツの外葉を捨てるポリバケツに投げ込まれています。

(風俗関係の人かしら……)

 そんなことを想像しながら目を離さないでいると、歯磨きセットとミントタブレット、2本の缶コーヒーを棚から手にした彼女は、そのままレジに入っていきました。チラチラと後方に視線を飛ばしているところを見れば、悪いことをしている認識はあるのでしょう。いくつかの商品を精算することで、お客さんとして帰るつもりのようですが、自分の心はごまかしきれないようです。レジ店員の視線を気にして、トートバッグの口を脇の下で固く抑えた彼女は支払いを済ませると、どこか憮然とした様子で屋上駐車場に向かうエレベーターに乗り込んでいきました。同乗者は誰もおらず、同時に乗り込めば瞬時に気付かれてしまう感じです。扉が閉まり、エレベーターが動き出すのを見届けた私は、老体に鞭を打って階段を駆け上がります。

 屋上駐車場のエレベーターホールに辿りつくと同時に、エレベーターから降りてくる彼女の姿が見えました。幸いなことに、降りしきる雨に躊躇しているのか、出口前で足を止めてくれています。その隙に、閉じかけた扉の奥を覗いて隠した商品が出されていないか確認すると、それらしきモノは一つも見当たりません。

(間違いない)

 声をかけることに決めて彼女の動向を見守ると、営業車に見えるワゴン車が、彼女の前に横付けされました。

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