コラム
[連載]ヤリチン卒業!! 叶井俊太郎の子育て奮闘記

『アメリ』以来の手ごたえ! パリ人肉事件の加害者を追った映画『カニバ』を手掛けることになった一部始終

2019/07/01 19:00
叶井俊太郎
(C)倉田真由美

 去年6月、当時オレが勤めていた映画配給会社「レスペ」が映画事業から撤退することになり、オレはクビになってしまった。会社都合でのクビなので、失業保険が8カ月支払われていたんですが、それもこの3月で終了。クビから1年たちました。

 実は今、映画の宣伝と劇場ブッキングの仕事をいくつかもらい、なんとかフリーランスで食いつないでます。その流れで、このコラムを掲載している「サイゾーウーマン」の運営会社「サイゾー」の社内を間借りすることに。

 というのも去年、某映画界の巨匠から「おまえにしかできない映画がある」と電話があり、その映画の本編がメールで送られてきました。見たら、衝撃しかなかった……! というのもその映画は、パリ人肉事件の佐川一政氏に密着したドキュメンタリー『カニバ』だったんです。

 確かにこの作品を手掛けるならオレしかいないし、オレがやらなければ! というのも、1992年頃、オレは『八仙飯店之人肉饅頭』という香港映画を買い付け、劇場では上映せずに、セル/レンタルビデオだけで展開しました。この映画は、マカオにある飲食店の従業員が店主一家を殺害し、遺体をバラバラにして肉まんの具として客に振る舞ったという事件をモチーフにした映画で、劇場上映が難しい内容。そのため、佐川氏に宣伝アドバイサーをお願いしたんです。

 この頃、佐川氏は殺人犯なのに、文化人としてテレビや雑誌にバンバン出ている人気者だったんですよね。その佐川氏の協力もあって、『人肉饅頭』は爆発的大ヒット! その後、続編でもないのに、『人肉天婦羅』『香港人肉竹輪』と買い付けた映画の邦題に勝手に「人肉」と付けてビデオリリースしたら、どれも大ヒットしたわけ。

 個人的にも、一緒に焼き肉食べた記憶がある。佐川氏には『人肉饅頭』の恩もあるし、たぶん日本の配給会社で佐川氏と個人的に連絡が取れるのはオレだけだと思うし、『カニバ』の日本での上映はオレが絶対にやる! と決めたんです。

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