ピエール瀧、有罪判決で「俳優業」の今後は? 「そもそも演技派ではない」と映画関係者が本音
6月18日、懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決が下された、電気グルーヴのピエール瀧被告。結審を待ち構えていたかのように、早くも関係者の間では、芸能界復帰のタイミングが取り沙汰されているという。
「本格的には執行猶予が明けてからになりそうですが、瀧さんの復帰を懇願する映画監督やクリエイターがとても多く、そこに目をつけた大手芸能事務所が、早くも獲得に名乗りを上げているようです」(芸能関係者)
もともとミュージシャンではあるものの、映画『凶悪』(2013)では「日本アカデミー賞優秀助演男優賞」をはじめ、さまざまな映画賞を総なめにしたほど、近年、役者としての演技力と存在感には定評がある瀧被告。しかし瀧自身は、6月5日の初公判で職業を問われた際「ミュージシャンをやっておりますけれど……」と答え、世間一般の印象とは違って、あくまで自身の本業は俳優ではなくミュージシャンという意識があるようだ。
「ミュージシャン系の俳優にとって、役者業は片手間仕事に過ぎないんです」と語るのは映画ライターのA氏。とはいえ瀧被告をはじめ、福山雅治や星野源ら音楽活動と同じ比重で俳優として活躍するミュージシャンは、今やどちらが本業かわからなくなっているほどだが……。
「いえ、彼らも音楽活動があるからこそ、ほかの職業俳優には出せない存在感が出せているんです。ダブルワークゆえの軽妙さでしょうね」(A氏)
ただし、ミュージシャン系俳優の扱いには要注意事項があるという声も。
「法令遵守の意識が低いんです。役者で食べていかなきゃいけないという必死さがないので、ユルいんですよ。ダメになれば音楽活動に戻ればいいと考えているから、平気で危ない行動を取るんです」(制作プロダクション関係者)
古い話では、シンガーソングライターの先駆けと言われ、俳優としても活動していた荒木一郎が、人気絶頂時に17歳の女子高生に対しての強制わいせつで逮捕され、後に不起訴処分となった。結果、演技関係の仕事は大幅に激減し、本人も映画やテレビといった表舞台に見切りをつけ、ミュージシャン業と共に趣味のマジック活動に勤しんでいる。また、2018年には、瀧同様に作家性の高い作品に起用される元ブランキージェットシティのドラマー・中村達也がライブの客とトラブルを起こし、傷害容疑で書類送検されたことも記憶に新しい。
そうなると、瀧被告はミュージシャンとしてはともかく、「俳優活動の再開は難しいのではないだろうか」(同)という。そもそも、瀧被告の演技は専業役者に比べて「本当にうまかったのか」という疑問もあるが……。
「演技派ではないですよ(笑)。何を演じても本人のキャラクターでしかないんです。極悪人から善人まで演じていましたが、役になりきるというよりも、瀧被告の味だけで勝負していました」(前出・A氏)
映画監督の大島渚は、「一に素人、二に歌うたい、三四がなくて、五に新劇」と、役者経験のない素人やミュージシャンの方が、プロの俳優よりも魅力ある演技を見せると主張していたが、実際、先の荒木一郎、佐々木功、坂本龍一といったミュージシャンを起用して成功を収めてきた。今後もミュージシャン系俳優は、作り手に求められることになるのだろうか。
「モデル出身の、顔だけが良くて演技がまったくできない連中に比べると、芸人やミュージシャンは本番に強いし、セリフの覚えも良くて、脇役にほしくなるタイプが多い。これからもミュージシャン俳優は起用され続けると思いますが、瀧被告のように、過去に顧みて危なそうな人を使うときは本人不在で別撮りもしておこうという意見も出てきています(笑)」(制作プロダクション関係者)
ミュージシャン出身の俳優としてはNHKドラマで主役を演じるまでに上りつめた瀧被告だが、俳優復帰が実現しても、しばらくは端役に甘んじることになりそうだ。
(飛田芹香)