女性が悩む便秘対策、「市販薬漬け」で腸が真っ黒に!? 医師に聞く「食物繊維の摂り方」新常識
厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」の調べで、日本人の500万人以上が悩まされているという便秘。特に女性の方がかかりやすいと言われ、20~50代では男性に比べて3.6倍も便秘の悩みを訴えているとのこと。
手軽な改善方法として、市販の便秘薬や漢方薬を服用するという選択肢もあるが、それらに頼りすぎると効果が出にくくなるというウワサも。そこで今回、健康的な便秘解消方法を探るべく、ゼスプリインターナショナルジャパン株式会社が主催する勉強会に足を運び、内・胃腸科医で医学博士、松生クリニック院長・松生恒夫先生による「新常識、便秘を予防する食物繊維の摂り方」の講演を聞くことにした。
便秘が“国民病”と言われる理由
現在、日本人の多くが便秘症に悩んでいるというが、「食生活の変化が要因の一つ」と松生先生は話す。1960年代頃までは、食物繊維を多く含む麦ご飯や野菜が食生活の中心だったものの、80年頃からは肉類や乳製品が増え欧米化。それと同時に食物繊維の摂取も減少傾向になったという。その頃から、大腸がんが増え始め、国立がん研究センターがん情報サービスによる「2017年日本人のがんによる部位別死因」を見ると、大腸がんは男性の3位、女性に至っては1位を占めている。松生先生は「大腸がんの予防の一つとして、老廃物を出す便通が大切になります。腸内環境を整えるという意味で、食生活の改善が重要」と指摘する。
また、女性の場合は、排卵後から生理開始前まで増加する女性ホルモンの一種「黄体ホルモン」が便秘に関係しているそう。「黄体ホルモンには、大腸の動きを低下させる作用があるほか、体内に水分や塩分を溜め込む作用も。そのため、大腸の腸壁から便の水分が吸収されて便が硬くなり便秘を引き起こします」と松生先生。
そんな不快な便秘に悩まされた時に、まず頼りたくなるのが市販の便秘薬なのではないだろうか。しかし、日本で販売されている便秘・漢方薬の多くにはセンナや大黄、アロエといった成分が含まれ、これらを毎日1年以上服用し続けると、腸が黒に変色する「大腸黒皮症」を引き起こすことがあると松生先生は語る。大腸黒皮症は「自覚症状が出ないため、大腸内視鏡検査を受けないと発見できません。また、大腸の機能が低下しているため、センナなどに頼り“続けない”と排便が困難になります」とのことだ。