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精神科医が語る「引きこもり」に見られる6つの精神状態と、「犯罪者予備軍」の論調が危険なワケ

2019/06/24 17:30
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

「最初に言っておきたいのは、テレビや週刊誌が『引きこもりは犯罪者予備軍』といった論調で報道するのは、よくないということです。引きこもり状態の方を余計追い詰めてしまうと思います」

 第一声、そうきっぱり断言した片田氏は、続けて、「これまでの私の臨床経験に基づいて、引きこもりの方の精神状態について話したいと思います」と言い、“6つの特徴”を挙げてくれた。

「1つ目が、『強い怒りと恨み』、場合によっては『復讐願望』も抱いているという点です。みんながみんなそうではありませんが、“いじめ”が引きこもりのきっかけになったケースは多く、いじめの加害者等に怒りと恨みを抱いていることは珍しくありません。例えば、熊沢容疑者の息子さんも、名門の駒場東邦中学校2年生のときにいじめに遭っていたと報じられています。その際、転校するなどの選択肢もあったと思うのですが、父親である熊沢容疑者はキャリア官僚ですから、息子にも同レベルの学歴と職業を親が望み、転校を許さなかったのかもしれません。実際に、家庭内暴力もあったそうですし、いじめの加害者だけでなく、親に対しても強い怒りと恨み、復讐願望を抱いていたのではないかと考えられます」

 熊沢容疑者の息子は、Twitterで「愚母はエルガイムMK-II(編註:プラモデル)を壊した大罪人だ」「私が勉強を頑張ったのは愚母に玩具を壊されたくなかったからだ」「中2の時、初めて愚母を殴り倒した時の快感は今でも覚えている」などとツイートしており、これらからは、母親に対する憎悪がありありと見て取れる。

「10代の頃にいじめに遭ったとしても、年を重ねると新たな人間関係ができ、日々の生活や仕事などで忙しくなって、過去のことにかまけていられなくなるものですが、引きこもり状態だと『あの時あんなことをされた』といったことを思い出し、怒りや恨み、そして復讐願望が募っていくことはあるでしょう。退職がきっかけとなって引きこもりになるケースも同様で、『過酷な仕事を与えられた』『パワハラに遭った』などと、怒りや恨み、復讐願望を抱いていることがあります」

 2つ目は「自尊心が傷つき、絶望感を持っている」という特徴で、「敗北感を抱え、それを逆転したいと思っている人もいます」とのこと。3つ目は「対人関係への恐怖」で、これは先に示したように、いじめやパワハラによる影響もあると考えられるという。4つ目は「欲求不満」。家にずっといて将来への希望を持てないせいで、不満やストレスがたまった状態にあり、「家族に暴力を振るうことにもつながる」そうだ。

 5つ目は「将来への不安」で、これは「長期化すればするほど強くなっていく」そうだ。事実「特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会」が発表した「2016年度ひきこもりに関する全国実態アンケート調査の報告」では、「家族調査、本人調査ともに、40歳以上の場合は40歳未満の場合よりも、現在および5年後に対する家族の不安が高いことが示されました。また、現在に対する不安よりも5年後に対する不安の方が高いことが示されました」と示されている。

「6つ目は『孤立』。当事者はもちろん、その親も孤立感を強く感じるようになります。子どもが引きこもり状態になることを、『恥』と感じ、近所づきあいや親せきづきあいを断ってしまい、親まで引きこもりがちになってしまうケースもあります」

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