ホストで「一晩1000万円」使った女――担当も驚いた「紙袋に詰まった万札」の出所とは?
真偽はともかく、土地を売ると聞いてからしばらくたった頃だ。あるとき、ユイさんは「行きたい場所がある」とホストの彼を誘った。行先は、北関東の某県某地方。彼は「観光地でもない場所になんの用事があるのか?」と、疑問を感じながらも同行したそうだ。もともと、毎月のお礼に旅行くらいはリターンするので、大した違和感はなかったという。
「ちょっとここで待っていて」
彼女に連れられるがまま、たどり着いた先はお寺だった。そういえば、親戚がお寺をやっていると聞いたこともあるような気がする……。しばらすると、彼女が境内から出てきた。両手には紙袋。紙袋には、いっぱいの万札が詰まっていた。
質素な紙袋のなかにたたずむ大量の福沢諭吉様。さすがに彼はその場では受け取らなかったというが、その偉容(異様)は、ユイさんの決意表明としては、十分だった。その後、同じ月のイベントでのことだ。
ユイさんは一晩で1000万を使った。さぞかし豪勢なシャンパンタワーだったことだろう。そして残りの紙袋資金はホストへ預け、こう言った。
「しばらくは自分の会計はその中から払うように、毎月の使用金額はあなたに任せる」
すさまじい、言い値システムである。男前、いや、女前である。ユイさんが渡したお金。それが本当に土地を売った結果、捻出された現金だったのかどうか、ホストは確かめなかったという。確かに、そんな詮索に意味はないだろう。私の勝手な感想ではあるが、ユイさんとホストには、「エースと担当」という強固な信頼関係があったように思うのだ。
ちなみに、今回の後日談。ユイさんは、最後は夫と関係を修復し、歌舞伎町から去った。「たまに連絡を入れるが、返事はない」と、彼は言っていた。ほんの少し寂しそうに見えたのは、私の願望の現れだろうか。
ユイさんがホストに使った総額は、1億円近く。それでも、歌舞伎町のホストは彼女にとってひとつの止まり木だったのかもしれない。痛んだ羽を休めて、無事に空へ飛べたなら、それは実りある支出だっただろう。
せりな
新宿・歌舞伎町の元風俗嬢ライター。『マツコが日本の風俗を紐解く』(日本テレビ系)で、 現役時代のプレイ動画を「徹底した商業主義に支配された風俗嬢」 と勝手に流されたが、 ホストに貢いでいたのであながち間違いではない。その他、デリヘル経営に携わるなど、業界では知られた存在。 現在も夜な夜な歌舞伎町の飲み屋に出没している。
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