Hey!Say!JUMP、アリーナツアー中止は得策? 心理学博士がジャニーズの決断を「ファン心理」から考察
今回そんなマナー違反を繰り返す過激なファンに対し、ジャニーズ事務所が下したアリーナツアー中止という決断を、鈴木氏は「正しいと思っています」ときっぱり断言する。その理由は一体どこにあるのだろうか。
「Hey!Say!JUMPのファンは、連帯責任を負わされたことに対し、最初は、事務所に対して怒りを覚えたと思います。そもそもの原因を作ったのは過激なファンなのですが、彼女たちは特定できないので、まずは特定でき、クレームを入れやすい相手――つまり事務所を攻撃するといった心理が働くのではないでしょうか。しかし時間がたつと、自分がコンサートに行けないという損失を被った真の原因は、一部の過激なファンであると認識し、そちらに怒りの矛先が向くのです。すると、ファンたちの間に自制心が生まれるとともに、『私たちが過激なファンを制していこう』といった心理状況が生まれるようになります。つまり、ファンが過激なファンに対し、これまでの行動を見直さざるを得ないほどの“圧力”を掛け始めるのです。こうした状況は、やはり事務所が、ファン全体に平等に不利益を与えることによって生まれたので、アリーナツアー中止の決断は正しかったと感じますね」
事務所が行ったのは、「ファン全体の空気を変えること」だと、鈴木氏は言う。しかしこの措置によって、過激なファンが少数にこそなれゼロにはならないのではないかと続ける。
「目を覚まして穏健化する過激なファンの方が多いとは思いますが、さらに過激化するファンもいるでしょう。集団になることで暴徒化が進むという話をしましたが、過激なファン仲間がいなくなっても『一人で追っかける』という人は絶対いるでしょうし、また、今後は人目につかないところで、隠れて違反行為を行うようになるかもしれません」
鈴木氏は最後に、マナー違反をする過激なファンに対して、「これをきっかけに、自分を見つめてほしいです」と言葉をかける。
「善良なファンは、中止の発表にため息をついたと思います。この『あぁ、残念……』というため息を、過激なファンはどう感じるか。アイドルは自分の所有物ではなく、みんなのものであることを、あらためて考えてほしいですね」