『ザ・ノンフィクション』26歳のラウンジママ・沙世子に感じる“爽やか”さ「歌舞伎町で生きる~その後の沙世子~」
NHKの金曜夜の人気ドキュメント番組『ドキュメント72時間』に対し、こちらも根強いファンを持つフジテレビ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』。5月12日放送のテーマは「歌舞伎町で生きる~その後の沙世子~」。26歳にして歌舞伎町のネオラウンジ「LP TOKYO」でママを3年勤める沙世子と、広島No.1キャバ嬢から同店へ入ったマリ(21歳)の日々を伝える。
あらすじ:ネオラウンジの変革と、広島No.1キャバ嬢の試練
『ザ・ノンフィクション』2018年12月16日放送回(「歌舞伎町で生きる~26歳・沙世子の場合~」)でも取り上げられた、歌舞伎町のネオラウンジ「LP TOKYO」の26歳ママ・沙世子。「キャバクラでもラウンジでもない」カジュアルさを売りに店を運営する沙世子は、キャストともフラットな関係を築いてきたが、売り上げに応じキャストを4クラスに分け、上位クラスには報酬を与える「評価制」の導入に踏み切る。
店には広島のキャバクラでNo.1を取った経歴を持つ21歳のマリが加わる。水商売は素人のキャストが多い同店で、経験者としてすぐ頭角を現すだろうという周囲の期待に反しマリは伸び悩む。しかし、週6日で働いてきた沙世子がインフルエンザでダウンすると、奮起したマリは自身の強みであるFカップを生かした大胆な名刺を作成するなど、全力投球。フリー客の指名数で店内記録を樹立しランクを1つ上げる。
『ノンフィクション』らしからぬ「爽やかさ」を生むもの
前回もそうだったが、沙世子の回は爽やかだ。前週の『ザ・ノンフィクション』は、こちらも番組の常連である42歳のホスト・伯爵が登場したが、こちらはなかなか「爽やか」という形容詞は出てこない。一方で、『ザ・ノンフィクション』感はたっぷりあった。
『ザ・ノンフィクション』の味付けは、「主人公が中高年」であってこそ決まるのだろう。また、登場人物は家庭環境に問題を抱え、それが性格の面倒くささにつながっている人は少なくない。しかし、今回の沙世子とマリには、その“暗さ”は感じない。沙世子は父親に6年会っていないが、仕事を応援する温かなメールを受け取っている。マリの場合、女手一つで育ててくれた母がアルコール依存症になるという過去があるが、番組内で見る限り母子関係は良好だ。
「悪くない親子関係」に加え、沙世子もマリも働くのが好きなのだろうと伝わってくるのが、さらに爽やかさを増す。ただこういった爽やかさは、「若さ」が支えているところもあるだろう。伯爵をはじめ『ザ・ノンフィクション』に出てくるほかの中高年レギュラー陣も、20代の頃は今より爽やかだったはずだ。
仕事に対する真面目さや情熱も、若さが生み出している面があるだろう。「仕事が楽しくひたむきな20代」は結構見かけるが、これがそのまま「仕事が楽しくひたむきな30代」「40代」となっていくのは難しい。もちろん仕事が大好きなままの中高年もいるが、息切れしたり疲れだしたり、嫌になって辞めていく人だって年々増えていく。