芸能界の「使えない二世たち」はどこに消える? 趣里が「水谷豊の娘」を脱皮できたワケ
芸能界デビューの最短ルートを用意されている、大物芸能人の二世たち。親の力を使ったバラエティ出演は一過性でしかないだけに、「ルックスが良いというわかりやすい評価がなければ、実力(役者であれば演技力)で勝負するしか生き残る道はない」(映画関係者)という。
父である奥田瑛二監督作でデビューした安藤サクラも、「園子温監督といった鬼才と出会わなければ芽が出なかっただろう」(同)といわれているそうだが、近年テレビドラマでブレーク中の趣里も、2013年に主演した映画が運命を決めたと業界関係者は話す。
「趣里が、水谷豊という現役ビッグネームの父の二世から脱皮し、一人の女優として花開いたのは、主演映画『おとぎ話みたい』の成功体験のおかげでしょう。この作品の山戸結希監督は、無茶振りがすごいと有名で、大半の役者は疲弊してしまいますが、趣里はどんな要求にも応えたというんです。当時、彼女は舞台中心で活動しており、忍耐力と表現力が磨かれていた。インディーズとはいえ主演ということで気合も入り、存分に実力を発揮できたのでしょう。映画は単館上映でしたが、劇場の観客動員記録を更新する異例の大ヒット、監督はこの作品をきっかけにメジャー映画へ抜てきされました」(映画宣伝関係者)
では、ルックスも演技力も兼ね備えていない二世たちの生きる道は残されていないのだろうか。
「大物芸人や歌手の子どもで俳優を志望する二世は、テレビや映画ではなく舞台中心の活動に切り替えています。著名な演出家と親が親しかったりして、コネが効きやすいからです。ただし、それが通用するのは、出演者にチケットノルマがある中規模な舞台まで。親の顔が広いのでチケットを売ってくれると見込まれて、キャスティングされるというわけです。それ以上の大きな舞台に出ようと思うと、やはり実力が必要です」(芸能事務所関係者)
一方、俳優の子どもは、舞台よりも映像作品に出たがる傾向があるそうだ。
「そういう二世は、映画系の専門学校が主催するワークショップに参加していますよ。昨年大ヒットした映画『カメラを止めるな!』で注目された“ワークショップ映画”ですが、『モテキ』の大根仁監督のような著名な監督が講師を務めることも多いんです。とあるワークショップに、某大物俳優のご子息が参加したそうですが、まったく華がなく、失敗を連発していたそうです。講師を務めた監督も気づかず、あとでお父さんに『息子がお世話になりました』と挨拶されて驚いたとか(笑)」(同)
安易なバラエティ出演だけでは生き残れないことに気づき始めた二世たち。地道な努力を積み重ねて、まずは周りに認めてもらえる日を待つしかないようだ。
(飛田芹香)