梨花、渡辺直美、辺見えみり……芸能人ファッションブランドの勝ち組/負け組を分析!
ファッションブランドにとってタレントは非常に重要な存在です。イメージキャラクターやモデルとして起用することにより、商品の売れ行き、ブランドの支持率が変わります。どのタレントと、どのタイミングで契約するのかを判断することは、アパレル企業の広報宣伝・販促活動において重要な要素の一つと言えるでしょう。
しかし、タレントが自身で運営するブランドは、業界にとってそれほど重要な位置づけではないと見なされています。なぜなら、極めて順調だと見られていた「メゾン・ド・リーファー」でさえ6拠点・8店舗で終焉を迎えました。ほかにも、タレントブランドはこれまでにさまざま誕生しましたが、一部を除いては、概して「規模が大きくなりにくい」「長続きしにくい」という傾向にあります。
そんな中、業界で存在感があり順調だと見なされているのは、渡辺直美さんが手掛ける「プニュズ」でしょう。こちらはウィゴーが運営しています。タレントのブランドは規模が大きくなりにくいという傾向に反して、売り上げ規模も拡大していますし、渡辺さんとウィゴー間とのトラブルも耳にしません。「メゾン・ド・リーファー」のブランド廃止が決まった今、成功した芸能人ブランドの最右翼だと言えます。
また、辺見えみりさんが13年のブランド立ち上げ時から昨年3月まで、コンセプターとして参加していた、ベイクルーズグループ運営の「プラージュ」も成功例。立ち上げ時には「単なる芸能人ブランド」と言われていましたが、辺見さんの退任後もブランドは続いているので、実は「ブランド」として固定ファンをガッチリとつかんでいたと言えます。開始時期がメゾン・ド・リーファーと1年違いのほぼ同時だったこともあり、比較され「売れていない」という報道があったものの、今では形勢逆転となりました。
若槻千夏さんが09~13年まで手掛けていた、ウィゴー運営の「W・C」も相当な人気があり、「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO(メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京)」、通称「東京コレクション」にも参加していました。
こちらも、ブランド自体は若槻さん退任後も継続していますが、規模はかなり縮小しており、現在、業界では存在感がありません。退任の理由については、明かされていないものの、当方が製造を手掛けていた会社や関係者から聞いたところによると、若槻さんの志向がクリエイション方向へと加速し続け、ウィゴーの「W・Cはあくまでもポップなカジュアルブランド」という考えに一致しなくなったためとのことでした。「東京コレクション」への参加は、そのクリエイション志向の表れだったと考えられます。もしその齟齬がなければ、今でも「W・C」は売り上げ規模を維持できていたのではないかと思われます。