海外
まだ人々の心に残る未解決事件

もし生きていたら……ドキュメンタリー番組で「28歳のジョンベネ」の画像が公開される

2019/04/17 18:26
堀川樹里
『ジョンベネ殺し 美少女殺害事件の深い闇』(トーマス・C.ミラー著、森川信子訳、バジリコ)

 今年1月、児童ポルノ所持罪でコロラド州の刑務所に服役しているゲイリー・オリバという男が、自分が犯人だという手紙を友人に送ったと報じられ、再び話題を集めているジョンベネ・ラムジー殺害事件。

 美少女コンテストの常連だったジョンベネは、22年前の1996年12月26日に、コロラド州ボルダーにある自宅の地下室で遺体となって発見された。事件当初、メディアで繰り返し流される美少女コンテストに出場するジョンベネの「厚化粧を施し、セクシーなドレスを着て、周囲に媚を売る」映像を異様だと感じる人が多かった。また司法解剖の結果、ジョンベネは繰り返し性的暴行を受けていること、父親は会社を経営するセレブ一家だったことや、誘拐されたと主張した母親の証言に不自然な点がいくつもあり、身内の犯行を疑われたことなどから、事件はセンセーショナルに報じられ、世界中の注目を集めた。

 その後、DNA鑑定の技術が進み、家族の潔白は証明されたが、犯人は不明のまま。06年8月にタイのバンコクに滞在していたアメリカ人男性が「自分が殺した」と自白したが、DNA鑑定の結果は不一致。16年には、容疑者の一人として名前が挙がっていた、現場近くに住む男が児童ポルノ所持で逮捕された。この男は00年12月に薬物所持で逮捕された際にDNA鑑定を受けており、ジョンベネ事件の犯人ではないと証明されているが、事件発生時に警察が現場保存できていなかったことなどから、この男が真犯人だと疑う声が再び高まった。この男こそ、冒頭で紹介したゲイリーである。

 ちなみに、現場に残された犯人からの脅迫状はゲイリーの筆跡と一致しないため、もし彼が犯人だとしたら共犯者がいるものとみられている。

 米「A&E」局は、今なお世界中から注目を集めるジョンベネ殺害事件の真相に迫ったドキュメンタリーを制作。『Hunting JonBenet’s Killer:The Untold Story』というタイトルで、4月11日に放送された。

 番組では、これまで伝えられてこなかった2つの有力な説を紹介。

 1つ目は、元夫の殺害を企てた容疑で、コロラドの刑務所に収監されている女性の「元夫、彼の友人がジョンベネ殺人に関わっていると思う」という証言を元に推測したもの。これは、事件発生時ジョンベネの両親に雇われた探偵が主張していた、マイケル・ヘルゴスという男が真犯人という説を裏付けるもの。元夫やその友人にインタビューし、マイケルとのつながりを探っていった。疑われた直後に自殺したマイケルは、事件当時ジョンベネの自宅近くに住んでいた。

 2つ目は、事件の13年前、ボルダーから車で数時間離れた町で起った、6歳の少女トレイシー・ネフ殺害事件を担当した元警察官の話に基づいた説。トレイシーとジョンベネの外見、体形が似ており、性的暴行を受け、同じような手口で殺害されたことから、同一犯に殺されたのではないかと推測する。トレイシー事件も、いまだ解決の糸口は見えていない。

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