共働き家庭に中学受験は無謀なのか? 管理職の母が、「辞職決意」の果てに気づいたこと
しかし、みゆきさんは結果として、辞職せずに中学受験もやり遂げた。
「5年生の秋頃でしたかね? 悠人に聞いたんです。『ママ、仕事辞めようかな?』って。そしたら、悠人が言うんですよ。『俺のせいにすんなよ!』って……。『ずっとプライド持って続けてきた仕事を簡単に手放すの? ママにとって仕事ってそんなもんなの?』って言われて、気が付きました。共働きで、確かに悠人には寂しい思いもたくさんさせてきたとは思うんですが、でも息子はこんな母親のことをずっと応援してくれてたんだなって。だったら、私は仕事を辞めずに、悠人のサポートもできる限りやるんだ! って決意しました」
それからみゆきさんは、中学受験をマネジメントすることにしたそうだ。
「今まで、『母親だから、これをしないといけない、あれもやらないといけない』って勝手に自分を縛り付けていました。例えば、栄養価のあるお弁当が作れないとか、そういう細かいことも含めて、ドンドンと自分をマイナス評価していることに気が付いて、まずはその思考をやめることにしたんです」
そこで、みゆきさんはアウトソースを最大限利用するという方針に切り替えたという。すなわち、塾弁は作らず、軽食を買うお金を悠人君に渡して、帰宅後、一緒に軽い夕食で食卓を囲むといった具合だ。また、みゆきさんが自分を責め続けたプリント管理については、悠人君を「塾のための塾」に通わせること(悠人君自身が希望したという)で対応。そこで「親の仕事」と言われた、プリント整理や苦手問題の補強をじっくりとやってもらったそうだ。
一方、人に任せられない塾の保護者会については、もし仕事で出席できなかった場合、「後日、塾に電話をして内容を確認する」ことにしたという。要は、自分でなければできない仕事と、ほかの人でもできる仕事に分け、その優先順位を確認。うまくいかない部分は原因を分析し、都度、柔軟に考えるという作戦に切り替えたという。
「私って完璧主義の気があって、なんでも自分がやらないと気が済まなかったんですね。それで、今までバランスを取ってこられたから、なおさら中学受験も絶対に自分だけで大丈夫! って思い込んだんです。でも、現実はオーバーワークになって、思うように動かなかった。それで、全部をなかったことにして、辞職まで考えちゃって……。もっと、できない自分を認めて、協力者を募ればよかったと思います」