日テレ『ZIP!』、首位独走から3位転落――波紋が広がる4つのリニューアルポイント
「今日という日が、皆さんにとってよりよい一日でありますように」――毎朝、日本テレビから聞こえてくるお決まりのフレーズだ。見ている視聴者はもちろんご存じであろう、朝の生情報ワイド番組『ZIP!』エンディングの挨拶である。
この4月に放送9年目を迎えた同番組は、4月1日からリニューアル。だが、視聴者の中からは「改悪」といった声も漏れ聞こえてくる。視聴率は現在、『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)と『めざましテレビ』(フジテレビ系)の後塵を拝して民放3位。2016年には、年間平均視聴率で同時間帯トップを誇っていただけに、この状況は歯がゆいものがあるだろう。
リニューアルした中で、最も大胆に変えたのはキャスティング。これまで月曜から金曜まで、桝太一アナウンサーと総合司会を務めていた川島海荷が降板。代わって、徳島えりかアナウンサーがその穴を埋めることになり、桝・徳島という局アナコンビが仕切る番組となった。これまで女性総合司会者にタレントを立ててきた同番組では、初めての試みだ。
しかし、川島の降板以上に『ZIP!』ファンを驚かせたのが、「MOCO’Sキッチン」を担当していた速水もこみちの卒業。
「もこみちに関しては、昨年8月時点でコーナーの人気は低迷していました。同10月には、コーナーのリニューアルを図り、『もてなしMOCO』をスタート。ゲストを招いて、料理でもてなすという内容でしたが、この路線変更が視聴者をさらに遠ざける結果に。まず『MOCO’Sキッチン』は、『料理をするカッコイイもこみちを見る料理ショー』といった発想でスタートしたため、リニューアルによって意図がブレてしまったのです」(放送作家)
ちなみに、4月1日から「MOCO’Sキッチン」に代わり、イケメンのハーフ男性・マーティンが47都道府県の朝ごはんを食べ歩く「日本全国朝ごはんジャーニー」が放送されている。
川島の卒業、速水もこみちの卒業ときて3つ目の痛手が、11年の番組開始当初から金曜パーソリティーを務めていた鈴木杏樹の降板だ。
「鈴木は、桝アナを除けばスタート当時からいる唯一のメンバー。その雰囲気で癒やしをもたらしていただけに、今回の卒業による視聴者のショックも大きいようです。しかも、新たな金曜の顔になったのは、鈴木と正反対のキャラクターといえる吉田沙保里。視聴者離れに拍車をかける危険性もあります」(同)
4つめは、「non・non」(集英社)専属モデルの貴島明日香が務めるお天気コーナーの変更だ。
「4月から、気象予報士・小林正寿と2人で気象解説するようになりました。彼女ももちろん、これまで通りお天気キャスターとして出ているのですが、役割が半減。彼女見たさにチャンネルを合わせるファンも多いため、ネット上では『男なんていらねえ』『明日香ちゃんの存在意義がない』などと、もこみち卒業を超える勢いで批判が上がっています」(同)
これらのほかにも、リニューアルポイントはあるのだろうか?
「今まで立ったままMCをしていたのが、着席スタイルで臨むようになっています。しかし、これが番組にどんな好影響をもたらすのかはわかりません。また毎日の企画として、『ZIP!バースデー』という、その日生まれた有名人を祝うコーナーもスタートしています。数人をナレーションで紹介しつつ、パーソナリティとゆかりのある人物にまわつるトークをするというものですが、人気コーナーに育つとは思えません」(同)
そのほか、エンタメコーナーのブラッシュアップや、コーナーの終了などさまざまな努力を図っているようだが、気になる一発目、4月1日の視聴率は『グッド!モーニング』午前7時台が10.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、『めざましテレビ』午前6時10分~8時が9.2%に対し、『ZIP!』は8.2%と3位。一時期は首位を独走していた同番組は、果たして視聴者を取り戻すことができるのだろうか?
(村上春虎)