バイトテロを起こす若者は「自分に自信がない」……臨床心理士が“悪ノリ”する理由を斬る!!
岡村氏はまず、バイトテロを起こす若者たちの心理について、「『店を潰そう』という意識はないのではないでしょうか。なので『テロ』と言ってしまってもいいのか? という問題はあるかと思いますが……」と、考察をめぐらせる。
「やはり『承認欲求』だと思います。ただ、『称賛されたい』というような承認欲求ではなく、『面白いと思われたい』など、“自分はこういう風に見られたい”といった承認欲求なのではないでしょうか。『自意識が強い』とも言えますね。同時に、バイトテロを起こす人は、『自分に自信がない』とも感じます。自ら面白いものを生み出す自信がない、だから『周りが笑ってくれることをやる』もしくは『自分が面白いと思った芸人のネタを真似る』というか。恐らく、これまでも仲間内で似たようなことをやっていて、相手が笑ってくれたのでしょう。そのことが『動画に撮ってSNSに投稿しても大丈夫』という安易な気持ちを生んだと思います」
自ら動画をアップしたのか、はたまた、仲間内だけで見せていたものが“うっかり”流出してしまったのか……その違いはあるものの、「ネット社会の怖さを知らないのは確か」と岡村氏。「SNSを使い慣れているにもかかわらず、自分の身に炎上が降りかかるかもしれないというリスク感覚が欠如している」と指摘する。
「『自分の身の回り』と『SNS』の境界線が曖昧なため、自分の周りが笑ってくれることは、SNSでも笑ってくれる、ましてや炎上なんてことにはならないと思っているのではないでしょうか。またそもそも『笑い』と『人の嫌がること』の区別ができていない面も。それから、悪ふざけをした本人ではなく、バイト仲間がSNSに動画を流出させることもあると思うのですが、その場合、『信頼のおける身内』と『信頼できない他人』や『仲間』と『組織』の区別もついていないですよね。言うなれば、バイトテロを起こす若者は、こうしたさまざまな“境界線”を曖昧なまま認識してしまっているのです」
ひと昔前は、ネット上に動画をアップして反応をもらうにも、大変な作業が必要だったが、最近は誰でも簡単に動画が投稿でき、簡単に「いいね!」が来る。その手軽さが、「自分の身の回り」と「SNS」の境界線をぼやかしているのではないかと、岡村氏は言う。「テレビゲームの影響により、2次元と3次元の境界線が曖昧になるといったことがよく言われますが、それと同じような現象だと感じる」とのことだ。