「虐待かしつけか」園の指導に葛藤するママたち……一方、「声を荒げてしまう」保育士の言い分
保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。
福岡県の認可保育所で、保育士が園児に暴言や虐待行為を繰り返したことが明らかになった。子どもを預かってもらっている保護者からすれば、許しがたい行為ではあるが、子どもが虐待の事実をうまく説明できないため、園ぐるみで隠ぺいを行うなど、なかなか表沙汰にもなりにくい面もありそうだ。また保護者の中には、保育士の行為が、「しつけ」か「虐待」かの判断がつかずに悩む人もいるという。今回は、そんな保育園や幼稚園ママの声を紹介する。
「履けないなら置いていく」靴が履けずに下駄箱に放置される園児
認証保育園と無認可保育所に、それぞれ3歳と0歳の娘を通わせている志保さん(仮名)は、保育園によってしつけの質が違うと感じている一人だ。
「下の子が通っている園は、少人数のため、保育士さんが子どもの性格を見ながら育児しているようでした。でも上の子が通っている保育園は大型のせいか、担任以外の補助の先生がフォローに入ることが多くて、たまにヒステリックに園児を怒っている補助の保育士を見かけます」
彼女は、「『認証』だから安心」と思っていたが、実際に子どもが通ってみないと実情はわからなかったという。
「この前は、園庭で遊んでいた2歳児クラスの子たちが、呼んでもうまく整列できなかったという理由で、保育士さんが『きちんと並びなさいよ』『並べないなら遊ばせません』と怒鳴っているのを見かけました。靴箱でうまく靴が履けない子を『置いていくよ』と言って下駄箱の前にしばらく放置していたり……。下の子が大きくなった時に、この先生が担任になると嫌なので、ほかの園を探しています」
5歳になる男児を認可保育園に預けている美佐枝さん(仮名)は、「モンペ認定されたら、子どもに対する保育士の態度が変わるのではないかと思うと強く言えない」と語る。
体が大きくなる5歳児は、狭い園内を走り回るだけでも、園児同士の衝突が起きてしまうなど、危険な面がある。ある時、男性保育士が、走り回る美佐枝さんの息子を担ぎ上げ、嫌がっても降ろさず「反省するまで降ろさない」と注意していたそうだ。早迎えでその状況を見かけたママから、話を聞いた美佐枝さんは、園にクレームを入れるか悩んだという。
「息子に聞いたら、『すごく怖くて泣いてしまった』って言うんです。でも迎えに行った時は、先生から何も報告されませんでしたね。『もともとは、うちの子が言うことを聞かなかったのが原因。しつけを受けただけだし、気にしすぎるのはよくない』と思う半面、『さすがにやりすぎではないか』『ほかの子と比べて、うちの子ばかりが怒られているかもしれない』とも思ってしまい……園に言うべきか悩んでいます」