ピエール瀧の「コカイン使用容疑」とミナミのカジノバー銃撃――元極妻が考える「逮捕」の意味
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
■負けが込んだ常連が怒って発砲?
3月11日の大阪ミナミのインカジ(インターネットカジノ店)銃撃事件で、界隈の緊張感はかなり高まっているようです。現場は、あのグリコの看板のすぐ近くらしいですよ。
事件は、この日の午前0時40分に発生しました。お店は、事前に電話予約を入れるシステムで、連絡してきた常連の青年が、ドアが開いたとたんにズドンと撃って逃げています。弾はお客さんと従業員さんに当たり、お客さんの意識は戻ったそうですが、従業員の方は意識不明の重体だそうです。
すぐにヒットマンは指名手配されましたが、「暴力団員」ではないようです。拳銃で「いい仕事」をしているので、かなり場数を踏んでいるのでしょう。で、「負けが込んだ常連が怒って発砲した」のだとか。バクチに負けたくらいでいちいち発砲していたら、命がいくつあっても足らないはずですが、まあそういうことなんですね。
もともとミナミ界隈は、六代目山口組、神戸山口組、任侠山口組の「三つの山口組」が覇権争いをしていることで知られています。もともとはひとつの組ですから、骨肉の争いの上にシノギのきつさがあって、暴行事件なども相次いでいます。みんな過剰な暴力団排除条例が悪いんですよ。
■ヒットマンはどこへ?
今回のインカジ襲撃について、報復(カエシ)があるかどうかは微妙なところです。警戒態勢を強めるよう指示している幹部もいるようですが、わかりやすい組織同士の争いではありませんからね。今後の動きに注目です。
ワタクシ的には、逃走中のヒットマンを心配しています。たとえば、1997年の山口組若頭射殺事件で逃げていた実行犯グループの末路は、哀れとしかいいようがありませんでした。病死のTさんも悲惨でしたが、16年の逃亡の末に逮捕されたSさんは「むしろ捕まってほっとした」と話していましたね。このあたりは中野太郎さんの『悲憤』(講談社)に詳しいです。
今回の方はまだ30代だそうで、どうなるのでしょうか。思えば、ここ数年のヤクザの銃撃事件では、ヒットマンはほとんど逮捕されていません。逃亡生活は心細いでしょうし、すでに亡くなっている可能性もゼロではないです。いずれにしろ切ないですね。