『I”s』『ゆうべはお楽しみでしたね』岡山天音、情けない若者を演じる独自の存在感
岡山は現在24歳。安藤サクラや門脇麦といった若手実力派俳優を有する芸能事務所・ユマニテに所属している。09年に『中学生日記』(Eテレ)で俳優デビューし、数々のドラマや映画に出演しているが、大きく注目されたのは、17年の連続テレビ小説(以下、朝ドラ)『ひよっこ』(NHK総合)だろう。
本作は1960年代を舞台にした朝ドラで、岡山が演じたのはコンビの漫画家・つぼ田ちぼ助として、相棒の坪内祐ニ(浅香航大)と共に漫画家を目指す新田啓輔。なかなかデビューできずにいる情けない青年だが、素朴な姿に可愛げがあり、作中ではムードメーカー的な存在だった。
主演の有村架純を筆頭に、『ひよっこ』は女性陣の活躍が目立つドラマで、登場する男性は、竹内涼真が演じた慶応ボーイの島谷を除くと、どこか頼りない人ばかり。そのため、本編では縁の下の力持ちに甘んじていたのだが、『ひよっこ』終了後には他作品に立て続けに出演し、独自の存在感を見せつつある。
すでにブレークしている竹内は別格として、『ひよっこ』男性陣の泉澤祐希、浅香航大、古舘佑太郎、磯村勇斗、そして岡山の5人は今年もっとも期待できる若手だと言えよう。中でも岡山の強みは、かっこ悪くて情けない青年役を愛嬌のある形で演じられることにある。
5月からはメ~テレ(名古屋テレビ)制作の深夜ドラマ『ヴィレヴァン!』で、ヴィレッジヴァンガードで働く大学生役で主演を務めることが決まっている。まだ深夜枠の小さい作品が多いが、プライムタイムのドラマで主演を務める日も、そう遠くはないだろう。
その時はぜひ、『ふぞろいの林檎たち』(TBS系)のような泥臭い青春群像劇に出演してほしい。今の岡山ならば若者の心を掴むような情けない青年を演じられるはずだ。
(成馬零一)