KAT-TUN・上田竜也、キャラ作りは「嫌なんすよね」と否定した姿に思う“迷走の変遷”
未成年との飲酒など、度重なる複数の問題発覚により、小山慶一郎、加藤シゲアキ、手越祐也らの立場が危うくなっている昨今。そんなNEWSメンバーの中で、唯一スキャンダルと無縁で、クリーンな増田貴久の「救済策」なのか、『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)にゲスト出演するなど、ようやく増田の個人としてのプッシュが始まったように見える。
また、スキャンダルなどの醜聞があるわけではないのに、KAT-TUNの個人売りも加速しているのか、上田竜也が『炎の体育会TV』(TBS系)にレギュラー出演しているだけでなく、日テレ系深夜枠の連続ドラマ『節約ロック』にも主演中で、さらに番宣でバラエティ番組などに出演する機会も増えている。そして、主演舞台『ポリティカル・マザー ザ・コレオグラファーズ・カット』も発表されたばかりだ。
上田にとっては今が非常に大切な時期。だからこそ、背中を押したい(いや、バチンと強く叩いてやりたい)と思ってしまう残念な場面がバラエティ番組で見られた。
それは、上田がゲスト出演した、嵐・二宮和也の番組『ニノさん』(日本テレビ系、2月3日放送)だ。企画は「ニノミヤ サブマリン」と題して、芸能界という大海原の深海に潜み、なかなか浮上することができない「深海芸能人」を応援しようというもの。そこでは、月収5,000円というロシア人タレント・小原ブラスが登場し、バラエティ番組などに呼ばれる際、「日本語ペラペラだともう(オーディションで)採用されないんですよね」「自分に嘘をついて生きています」などとして、「外国人」を求められて演じている苦悩を告白した。
この告白が最も刺さってくるのは、上田じゃないだろうか……そう思い、上田の表情の変化を凝視してしまったジャニオタは多かったのではないだろうか。なぜなら、上田こそが「自分に嘘をついてきたキャラ」であることを、ジャニオタの多くは知っているからだ。
2013年12月25日の『ザ少年倶楽部プレミアム』(BSプレミアム)において、これまで上田が設定してきたキャラについて、「まず試したのが、ROCKキャラ」「続いて試したのが、不思議キャラ」として「妖精が見える」頃などと総ざらいされていた。
だからこそ、『ニノさん』のこの企画は、そんな「自分に嘘をついてきた」上田のために用意されたものなのだろうと思い、否が応でも期待が高まる。にもかかわらず、上田は真っすぐな目でこう言うのだった。
「ウソついてて、悲しくなんないの? そのまま出せばいいと思いますけどね。嘘つかないで。キャラ演じないで」「後悔しません? 俺、嫌なんすよね。なんか自分が……」
あれ? もしかして自身のキャラ設定遍歴のことを完全に忘れちゃっているのだろうか。いや、今でこそ「熱く硬派なヤンキー」キャラで売っているが、上田はもともとバカじゃない(と信じている)。自身の迷いや苦悩を乗り越え、「硬派ヤンキー」にたどり着いた今だからこそ、「ウソをついてきた自分」の過去を否定するのではなく、責めるのでもなく、弱さを丸ごと愛してあげて良いと思うのだ。
おそらく、上田のそういった変遷のことはまったく知らず、興味もないであろう二宮は、「お前、『マネーの虎』みたい」というあっさりしたツッコミで締めていた。でも、上田がそこで勇気を出して、「実は自分も、かつて妖精が見えてたんすよ」と告白したら? 二宮はもっと上田に興味を持ったはずだし、番組はもっと別の深まり方をしたのではないかと思う。
なんなら今の「ヤンキーキャラ」「櫻井リスペクト芸人」もキャラに見えなくもないし、いろいろ深掘りできる要素があるはずなのに。そこには番組のリサーチャーの仕事の甘さも起因しているが、推されている今だからこそ、上田は受け身ではなく、もっと自分から発信すべきときなんじゃないだろうか。
人数が多すぎて、一度にプッシュできるタレントは限られてしまうジャニーズ事務所。自分にチャンスが巡ってきたときに、与えられたチャンスをモノにできる人と、できない人とがいる。今、チャンスは確実に上田のもとにきている。それを大いに自覚して、もう一歩踏み出す勇気をもってほしいものだ。
(南山ヒロミ)