カルチャー
インタビュー【後編】
西武・そごうとシャネル――「女性の生きづらさからの脱却」を描くCMを比較して見えてくるモノ
2019/02/22 17:30
――炎上を炎上として消費するだけでなく、何が問題かを議論すべきですね。
田中 炎上にも2パターンあります。「目的と表現方法のどちらも間違っているもの」そして「目的は正しいのに、表現方法が間違っているもの」です。前編で取り上げた菅公学生服の防犯啓蒙ポスターは、性被害者の側に犯罪の原因を押し付けるものなので、目的も表現方法もどちらも間違っていました。しかし、東幹久さんのセクハラ防止ポスターは、「男性側が問題視していない発言でもセクハラに当たるということを指摘する」という目的は良いものであるにもかかわらず、現状の課題が見えておらず、また男性側に寄り添いすぎるという表現方法を選んでしまっていた点が問題でした。そして、西武・そごうのCMも、女性のエンパワーメントを描くという目的は非常に良いものであったのに、表現の段階で間違えたと言えます。
――炎上が議論されることで、そもそも「目的から間違えている」ポスターやCMは、減っていくかもしれません。
田中 そうですね。女性をエンパワーメントしたいという広告が増えていることは間違いないので、今後の課題は「表現方法」になっていくと思います。いまの社会において何が課題で、どう解決していけばいいのかという課題分析力が求められるようになるでしょう。なので、後者のパターンで炎上した制作サイドに対しては、炎上したことに怯えるのではなく、課題分析の部分を反省し、めげずに女性を応援するCMを作り続けてほしいと思っています。
最終更新:2019/02/22 17:30