ヤクザのバイトはアリだった? 元極妻が考える暴力団の「シノギ」
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
■「郵便局でバイトしていた」ヤクザが詐欺で逮捕
お正月明けでヒマらしく、「郵便局でバイトしていた」ヤクザが詐欺で逮捕されたニュースが話題になっていましたね。「ヤクザであることを隠したから詐欺」だそうですが、もう言葉もありませんでした。
この件でよくわからないのは、逮捕された方は1日だけバイトしたあと、自分でヤクザだとウタって(カミングアウトして)退職したというところですが、「なんでそこでウタう?」と思った人は少なくないかなと思います。だって、外見ではわかんないから採用されたんですよね。
うちの若い衆なんか、みんな「顔が反社会的勢力」でしたから、「暴力団員ですか?」って聞かなくてもバレバレで、まず郵便局になんか採用されませんよ。面接に行く前からアウトです。ま、この方は何かのご事情がおありだったのでしょう。
■「シノギ」の語源、ご存じですか?
そもそもヤクザとは、何をして食っているのでしょうか? バイトしちゃダメなんでしょうか?
ヤクザの資金獲得活動といえば「シノギ」ですよね。今はなんとWikipediaでも紹介されているのですね。初めて知りました。囲碁用語にもあるそうですが、こちらは割愛。「シノギの名手」とあっておもしろかったので、気になる方は調べてみてください。
Wikiには、シノギ(しのぎ)とは、「収入を得るための手段(経済活動)の一つ。主に暴力団関係の団体・人物が収入を得るために使う手段であり、港湾業務や興行の元締めといった合法手段もあったが、たいていの場合、用心棒、賭博、違法薬物密売、ノミ屋・ダフ屋、闇金融、詐欺集団の元締めなど、違法手段のものが多い」とあります。
まあ的確なわけですが、やっぱり「正業」は、昔は「シノギ」というニュアンスではあんまり使ってなかったなと思い出しました。たとえば飲食店のおしぼりや植木、玄関マットなどのリースの会社をヤクザが正業として経営する例は多かったんですが、昔はこういうのを「シノギ」とは言ってなかった気がします。もちろん間違いではないんですが、シノギってもっと非合法な感じでしたね。今は正業がまったくできず、非合法しかありませんから、そっちのほうが心配です。
ちなみにヤクザは“武士”として生きていますから、「シノギ」も「鎬(しのぎ)を削る」からきているという説があります。時代劇で見る刀同士がぶつかるアレですね。鎬とは、日本刀の峰と刃先の間にある最も厚みのある部分だそうです。
もう一つは「糊口をしのぐ」(貧しい生活をしている)からきているという説もあって、こっちのほうがなんとなく合っている気もします。だって、前から書いていますが、一部の大親分を除いて、ヤクザは基本的にウハウハではないんですよ。まあ80年代の不動産バブル期は、10代の若い衆もお金を持っていましたけど、そのくらいですね。
だから、太いシノギのない若い衆は、道路工事や賭場の下足番まで、とにかくなんでもやっていました。そこから人間関係を作って、新たなシノギにしていくんです。思えばお金もうけがうまい若い衆は、どんな小さな仕事でもマジメにやってました。