サイゾーウーマンカルチャー社会虐待や愛情に殺されないためには カルチャー トークイベント「居場所・つながり・新宿二丁目」レポート 虐待も愛情も人を殺せる。殺されないためには――中村うさぎ×伏見憲明×こうきトークショーレポ 2019/01/30 16:00 イベントレポートLGBT新宿二丁目 『ぼくは、かいぶつになりたくないのに』(日本評論社) 親子たるもの無償の愛で結ばれるものだと信じて疑わない人は、いまの世の中にどれほどいるだろう? 過去最多を更新し続ける国内の虐待件数を目の当たりにすると、どうやら必ずしもそうではないらしいと気づいてしまうものだ。 しかし、これほどまでに成育過程で親の愛を刻めなかった人も珍しいかもしれない。新宿二丁目のゲイ・ミックス・バーで働きながらイラストレーターとしても活躍の幅を広げている、こうきさんである。 「平手打ちをはじめとする日常的な暴力とネグレクト」「自室は小鳥やハムスターの飼育部屋」「汚物を見るかのような目線を向けられる」「高校卒業と同時に無言で持ち物を捨てられ、ホームレス生活を余儀なくされる」ーー両親から凄惨な虐待を受けてきた。 学校では動物臭いといじめられ、ゲイであることをアウティングされ、高校卒業後は公園で寝泊まりしていた時期もあった。自身のセクシュアリティから新宿二丁目にたどり着き、心ある人たちに救われた。が、いまでも自分の中にくすぶり続ける“怪物”と戦っている。 そんなこうきさんの体験をもとにした絵本、『ぼくは、かいぶつになりたくないのに』(日本評論社)が2018年12月に発売になり、話題を呼んでいる。文章はエッセイストで小説家の中村うさぎさんが担当、絵はこうきさん自身が描いた。 1月10日には、出版を記念して「居場所・つながり・新宿二丁目」をテーマにコミュニティセンターaktaでトークイベントが開催された。こうきさんをはじめ、中村さん、熊谷晋一郎さん(東京大学先端科学技術研究センター准教授)、マダム・ボンジュールジャンジさん(コミュニティセンターaktaセンター長)が登壇。こうきさんが働くバーのママでもある、作家の伏見憲明さんが司会を務め、愛や他人とのつながりについて、それぞれの観点から語られた。そのハイライトを紹介したい。 次のページ 虐待も愛情も人を殺せる。殺されないためには依存先を増やす 123次のページ Amazon ぼくは、かいぶつになりたくないのに 関連記事 セックスワーカーを経験した中村うさぎに聞く、売春はなぜ“いけない”ことなの?中村うさぎが「本当の自分」を求める果てにみつけた"自己破壊"とは? 警察からも頼られる新宿二丁目のママが語る、老舗ゲイディスコが50年続く理由診療報酬詐欺事件で有罪判決の脇坂英理子 心の闇は毒親が原因だった!?結愛ちゃん事件を受けて――専門家に聞いた「虐待を防ぐために私たちがすべきこと、社会がすべきこと」