「本命校よりはるか下の偏差値なのに……」1月受験に失敗した中学受験生の母、その悪夢の先
中学受験入試もいよいよ最後の砦である東京・神奈川の学校を残すのみとなった。逆の言い方をすれば、東京・神奈川の中学入試本番は2月1日から始まるのだ。しかし、この受験生たちの多くが“1月受験”を経ているという事実を、皆さんはご存じだろうか?
1月受験とは、業界で言うところの「お試し受験」なのである。これは主に、東京・神奈川の受験生が、1月に実施される埼玉・千葉の入試、あるいは寮を完備している地方校が行う首都圏会場での入試を、本番前に受験することを指す(帰国生入試や千葉の専願入試では12月からスタートするものもある)。
最近では交通機関の相互乗り入れの発達によって、東京・神奈川の受験生が、千葉・埼玉の学校に進学するケースや、逆に千葉・埼玉の受験生が東京・神奈川の学校に進学するケースも少なくはないので、一概に「お試し」とも言えなくはなってきている背景がある。しかし、やはり依然として、お試しによるメリットを享受したいと考える東京・神奈川の受験生は多いと言えるだろう。
この「お試しによるメリット」だが、一般的には3つあると考えられている。
1:模試とはまったく違う「受験本番」の空気に触れさせ、慣れさせておく
→いわば、“本気モード”の予行演習である。
2:合格を手にすることで安心感を持たせる
→一つ合格を得ることは、2月1日以降の本命校受験への自信になる。先ほど述べたように、実際に進学する可能性もあるので、「もし本命校に落ちても、入学できる学校がある」という余裕も生まれる。
3:あえて一度、「不合格」という痛い目に遭わせ、本気に火を点ける
→これは男子に多いのだが、「本番」が何たるかをまったく意識せず、模試感覚で舐めてかかるケースがある。そこで事前に、あえて「不合格」をもらって目を覚まさせるために、お試しするというパターンもある。
こうして受験生は1月校受験に臨むわけだが、例えば、大人気校である埼玉の栄東中学は、毎年1万人弱が受験する。こうなると、試験会場は“人の波”で、さらに本番独特の空気に満ちている。すると、雰囲気に圧倒され、想定外の不合格となってしまう子も出てくるのだ。「3」のように、もともと不合格を想定している受験生は稀で、多くの受験生は不合格にうろたえるであろう。本命校受験までの日数が少ない中、やる気に火を点けるどころか、“不合格の烙印”を背負い込み、本番前に自信を喪失してしまうからだ。1月校受験は、お試しとはいえど、実は相当、覚悟がいる受験なのである。