シンガポール「ティラミスヒーロー」パクリ疑惑……「HERO’S」は法的に罰せられるか、弁護士解説
まず、今回の騒動をひもとくカギは、山岸氏いわく「商標登録」。シンガポールの「ティラミスヒーロー」が日本で商標登録を行っておらず、「HERO’S」が先手を打ったことにより起きた“悲劇”だという。確かに、特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」で商標検索をすると、「HERO’S」の社長・高田雄史氏が代表取締役を務める株式会社gramが、17年6月に商標を出願、18年3月に登録という情報が出てくる。
「商標などの権利は、国ごとに取り決められるものなので、たとえシンガポールの法律で『商標』として登録されているロゴや商品名であっても、日本の法律で『商標』として登録されていないロゴや商品名は、日本では使用できてしまうのです。逆もまたしかりで、これを、『属地主義』(法の適用範囲に関する立法主義の1つで、自国領域内に場所的に限定するもの)といいます」
それでは、“本家”が泣き寝入りするケースが多発してしまうように思うが、それをフォローする「『マドリッド協定』という、たくさんの国が参加している条約がある」という。
「自国の法律で『商標』登録した後、もし将来、海外でもその『商標』を使った商品を販売する予定があるのであれば、このマドリッド協定にしたがって、『国際登録』をすることで、将来、海外(特定の国)でも『商標』の権利を主張することができるようになります」
そういった法的な背景を考えるに、今回シンガポールの「ティラミスヒーロー」は、「この『国際登録』をしていなかったのでしょう」と山岸氏は指摘する。
「日本では、13年8月から、シンガポール発の『ティラミスヒーロー』が販売されていたようですが、この時に、しっかりと『商標登録』なり、『国際登録』の手続きをしていなかったものとみられます。そのため、『HERO’S』が、先に日本で登録をすることができたわけです。これは、シンガポールの『ティラミスヒーロー』側のミスと言えるでしょう」