コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験の本番直前、母を襲う極度の“不安”――「自分は狂ってる」と吐露した悩みとは?

2019/01/13 17:00

 中学受験は、母の理性を狂わすものなのかもしれない。この時期は「インフルエンザ」「ノロウイルス」に関する不安がピークを迎える。それゆえ、母たちは防御に必死だ。

 家族全員で予防接種をするのは当然だし、ご家庭によってはこれらの感染を防ぐために1月中の小学校を自主休業するケースも珍しくない。毎年、この問題は賛否両論を巻き起こしているが、こればかりは各ご家庭が最善と思う方法を貫き通すのが一番だと思う。

 筆者が苦笑したのは、昨年の受験生家庭の話だ。太郎君(仮名)は難関中学を目指していた。太郎君の父・一郎さん(仮名)も同じ中学出身なのだが、気合が入りすぎてしまったらしく、1月は仕事での激務に加え、家庭で“父塾”(父が勉強の指導をすること)を開催したそうだ。

 その妻・和子さん(仮名)が語るに、こうだった。

「やり慣れないことをいきなりやったものだから、多分、夫の方に疲労が蓄積しちゃったんですよ。父塾を開催して丁度1カ月後、つまり、よりによって受験本番1週間前にインフルエンザに罹ったんです! 太郎はただでさえ、父塾を嫌がっていたのに、無理矢理やらせて、しかも自分はインフルエンザなんて……許せませんよ! もう私は真剣に離婚を考えました。不合格だったら、絶対に離婚しようって!」

 結果、一郎さんはひとり自宅待機を命じられ、妻子は速攻で家を脱出し、受験終了まで本命校そばのホテル住まいとなったらしい。太郎君の合格で、両親の離婚は免れたのではあるが、実は、お父さんがインフルエンザ等の病原菌をうっかり家庭内に持ち込んでしまうといった類の話は、毎年よく聞く話なのだ。

 この時期、母親は子どもに「万全な健康状態で受験させたい」と強く願っているだけに、体調管理こそが、最も不安を抱いてしまうポイントになる。受験直前は、親も不安に駆られ、良かれと思って足掻きだすが、新しく何かを始めることなく、日々のスケジュールを淡々とこなすことが、実は最も重要なことなのである。

 何はともあれ、これを読んでくださっている受験生家族の皆さんが万全な状態で受験できますように。
(鳥居りんこ)

最終更新:2023/12/14 12:20
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