4人に1人は持つ「子宮筋腫」と「ピル」の関係は? 眉唾情報の真偽を産婦人科医に聞く!
40代女性の4人に1人は持つ「子宮筋腫」。子宮にできる「こぶ」であり、10センチ以上(赤ちゃんの頭程度)になる人も少なくない。不妊要因になったり貧血や重い生理痛を引き起こすこともあるが、「下腹が出ている以外問題なし」というケースも多く、手術するほどでは、とためらってしまう人も多いのがこの病気の難しいところだ。
子宮筋腫は女性ホルモン「エストロゲン」で大きくなるとされる。日本産科婦人科学会ホームページでは「(執筆注:自然に体内から分泌されるよりは)女性ホルモン量の少ないピルを使うことで、筋腫が大きくならず、(執筆注:子宮筋腫の)症状も楽になることがあります」との記載もある。果たしてピルと子宮筋腫の関係とは? 子宮筋腫の手術で知られる四谷メディカルキューブ・子安保喜医師と、調布keijinkaiクリニック・瀧康紀医師に話を伺った。
低用量ピルなら、もともと体が出す女性ホルモンより量は減るが……
【四谷メディカルキューブ 子安保喜医師】
――ピルと子宮筋腫の関係について教えてください。
子安保喜医師(以下、子安) 子宮筋腫は女性ホルモン、エストロゲンで大きくなります。ピルにもエストロゲンが入っていますが、いわゆる「低用量ピル」は、自分の卵巣から出てくるエストロゲンに比べてみれば非常に量は少なくなります。そのため、ピルを服用すれば筋腫の大きくなるスピードを少し制限できる「かもしれない」という点はありますね。
――それでは、子宮筋腫のある人が、子宮筋腫の成長を抑えるためにピルを飲む、という方法についてはどうでしょうか。
子安 予防はできるかもしれませんが、当院ではそこまではしていません。理由は2つあり、まだ子宮筋腫の抑制をピルで抑えられると言えるほどの十分なエビデンス(証拠)がないというのが1点です。
そして2点目は、ピルにも副作用があるという点です。特に血管をふさぐことのある「血栓」は致命的な影響を及ぼすこともあります。また、35歳以上の女性で喫煙している方は、血栓リスクが高まるのでピルを処方することができません。
なお、子宮筋腫でなく、子宮内膜症(子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が、卵巣など子宮以外の場所で増殖する病気)の場合、ピルは保険適用になっていますね。ピルは排卵を抑えますので、子宮内膜の増殖を防ぐからです。