万引きGメンの私が怒りで震えた――「摂食障害」主張するオンナの“階段での挑発”と“弁明”
それから、2カ月ほどたったある日。この女が同じ店で大量の商品を盗み出したところを、同事務所の男性保安員と一緒に捕捉することができました。今回の被害品は、ワンピースや下着、ハンドバッグ、サプリメント、食料品など計42点で、被害合計金額は12万円を超えています。前回捕捉された時の処分はわかりませんが、再犯者であることを考えると、逮捕される可能性が高い状況といえるでしょう。
「私、病気なんです。お金は多めに払いますので、許してください」
「あなた、階段でのこともあるし、そんなの通らないわよ」
「え? あ、あの時の……」
すっかり気落ちしてしまった被疑者を事務所に同行して、人定事項と被害品を確認してからマネージャーを呼び出すと、テーブルに並べられた大量の被害品を前に絶句されました。
「こんなにたくさん……。前に捕まった時、この店には二度と立入らないって約束しましたよね?」
万引きをして捕まった人は、もれなく出入禁止にするのが、この店のルールです。もちろん彼女も誓約書を書いていますが、こうした約束はすぐに破られ、平気な顔で再来店する万引き常習者も少なくありません。
「前回、ここで逮捕された時には、治療するから許してくださいって、手紙までくれているじゃないですか。いまも通院されているんですか?」
「いえ、裁判が終わってからは行っていません。クリニックに戻るのは、一審で実刑になって控訴してる人か、スリップした人たちばかりなんです。私の判決は執行猶予だったので……」
今回も、しっかりと被害届を出された女は逮捕されましたが、その後のことはわかりません。実際の現場では、たくさんの商品を日常的に盗んでおきながら、捕まると病気を楯に自分の行為を正当化して、居直るような人が多い実情もあるのです。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)