【このスピがすごい2018】スピリチュアル・引き寄せ市場の研究者が選ぶ、業界の“過激派”2名
去る12月20日、子宮委員長はるが引退した。「子宮を大切にすると幸せになれる」という子宮メソッドは、多くの女性を魅了し、書籍やDVD、関連グッズが飛ぶように売れたという。果たして、スピリチュアル/自己啓発業界で、はるのような大ブレークを果たす人物はいるのだろうか?
今回、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)の元副主任研究員で、『スピリチュアル市場の研究 ―データで読む急拡大マーケットの真実』(東洋経済新報社)の著者・有元裕美子氏に取材を行うことに。研究のため、さまざまなスピリチュアルセミナーなどに足を運び、マーケティング視点でその動向を追っているというが、「中立の立場でいようと思って参加するものの、ミイラ取りがミイラになることがあります(笑)。年間200万円近くの身銭を切ることもあるので、『だったら、私も幸せになりたい』と思ってしまいます」と微笑む。そんな有元氏に、「このスピがすごい2018」を2名選出してもらった。
多次元コンタクター・シャランさん
最初に名前を挙げてくれたのが、多次元コンタクター・シャランさん。耳慣れない肩書だが、いわゆる“引き寄せジャンル”のスーパーノヴァ(超新星)的存在とのことで、有元氏いわく「この大変な時代に、不安を抱える人たちが、楽しい世界に行けるためのまったく新しい方法」を教える人物だという。
【選出理由その1】
これまでの引き寄せで効果がなかった人を取り込んだ
<有元氏のコメント>シャランさんは、これまでいくらやっても引き寄せができなかった人に向けて、段階を踏みながら引き寄せを習得していくメソッド(パラめく)を紹介しています。自分なんてダメなんだと嘆いている「クヨクヨさん」→他人との勝ち負けにこだわる「イライラさん」→他人のことは気にならなくなり、いつも幸せで穏やかな気持ちでいられる「ニコニコさん」という、3段階のステップアップに分けて対策を説いており、かなり斬新。一般的な引き寄せでは、全員にいきなり「ニコニコさん」だからこそ自然にできる「何事にも感謝しよう」「ポジティブシンキングをしよう」といった教えを説いてはいるものの、エネルギーが足りない「クヨクヨさん」や「イライラさん」状態の人が、そんな高度なことは実践できませんからね。
【選出理由その2】
「自分、自分、自分!」自分の本音や快適さが最優先の過激な実践法
<有元氏のコメント>パラめくでは、「エネルギー漏れ(過去のトラウマ、現在のトラブル、未来の心配、自分を責める、人を責める)を防ぐことによって、エネルギーを高め、ステップアップする」のですが、その方法はとても過激。「自分を制限する思い込みや枠を外し、その下に隠された本音に気づく」「自分を徹底的に慈しみ、嫌なことはしなくてよし」とされ、自分をケアするためであれば、働かなくていいし、のんびりするのが最高だし、自分のご機嫌だけを取りなさい、というのです(笑)。「マンガを読め!」「ギターを弾け!」「髪をカールに!」といった具体的な指示もあるようです。自分にダメ出しするくらいなら、心の中で他人に「死ね!」と言うこともOKだそう。とにかく自分、自分、自分! 自分第一。自分イジメは厳禁で、他人(の評価)に向けていた目線を自分(の感情)に戻し続けます。数ある引き寄せの中でも、ここまで徹底している教えはないのでは。
【選出理由その3】
「普通の人が激変する」「不安が減って幸せに!?」という体験談の強烈さ
<有元氏のコメント>パラめくを実践される方って、ある日突然思ってもいないような横っ飛びの展開が起こるらしいです。ある方は、今まで歌ったことがなかったのに、シャランさんに突然「前世はオペラ歌手だから、歌ってみろ!」と言われ、最初は抵抗していたものの、一念発起してオペラの先生に習いに行こうとしたそう。しかし、「勉強なんてするな、いきなり歌え!」というので、イベントで歌ってみたら、「うちのイベントでも歌って」とオファーが舞い込み、最終的に2000人くらいが応募したオーディションで優勝して、CDデビュー(笑)。ほかにもアイドルデビュー、映画出演を果たした方などもいるといいます。ある意味、狂っているようなことが起こるんです。
【選出理由その4】
スピ/自己啓発ジプシーの最終決定打となりそう
<有元氏のコメント>スピ/自己啓発にハマる人は、皆さん“最終決定打”を求めて、ジプシーのようにさまよい、それがこの業界にリピーターを呼ぶ構造になっていました。しかし、そういった方がこぞってシャランさんで打ち止めになっている印象があります。真面目さを排除し、ゆるむことに重きを置き、テンションを上げるというメソッドは、思考でなく感情に働きかけるため、無理なく実践しやすい。また、本やセミナーでは伝わり切れない、パラめくのゆるさとハイテンションの“周波数”を体感してもらって、日常により定着させるため、シャランさん認定のグランドマスターたちによるお茶会(パラめくベーシック講座)が盛んに開かれ、これによってコミュニティが形成され、リピーター定着と新規開拓、つまり、愛好者拡大の大きな原動力となっているように見えます。まさにシャランさんは、スピ/自己啓発業界の“最終決定打”なのかもしれません。