万引き番組の“ヤラセ疑惑”をGメンが解説! 「犯人は演技している」の意味とは……?
長年、現場で万引き犯と対峙し、数々のテレビ番組にも出演している“万引きGメン”の伊東ゆうさん。前編に引き続き、テレビの万引きGメン特集の裏側、そして万引き犯とそれを取り締まるGメンはどんな人たちなのか? また日々どんな考えを持って仕事をしているのか? 話をお聞きした。
番組をヤラセと勘違いする原因は“犯人の演技”
――伊東さんのお話をお聞きしていると、万引きの現場を撮影すること自体が難しくなっているように感じるのですが、撮影で、その、“無理”をしたりはしないんですか?
伊東ゆう氏(以下、伊東) ヤラセのことですかね? よくSNSとかで「これヤラセだろ」とか叩いている人いますが、見てもらえばわかると思いますけど、実際に警察の方も呼んでいますから、ヤラセなんかあり得ないですよ。まあ、犯人の言い訳が嘘で、芝居染みているときなんかは、ヤラセっぽく見えるかもしれませんけどね。
――犯人が演技をしているんですか?
伊東 はい。盗む気満々の人なんかは、入店する時点で“お客さんの演技”をしています。大体の万引き犯は、客の振りをして犯行に及ぶので、ある意味仕方ないかもしれませんね。万引き犯は、子どもが何かいたずらするときのいたずらっぽい顔、言い換えれば“悪意の顔”をしています。みんなああいう顔になってしまうんです。年を取ると、もっとその顔つきが悪くなりますね。「悪い顔してんなぁ」と思いますよ。我々Gメンはその微妙な差や、客としての違和感を覚えて追尾するわけです。
次に、捕まった時の“弁解の演技”ですね。ある老人が「息子が30年引きこもってて」と、重い話を大げさにするんですよ。それで家族に迎えに来てもらったら、その息子が迎えに来た、という話がありましたね。現場ではわかりきっているので、まずは相手にしませんが、「平気で噓をつく」「わざとらしい」という“犯罪者の演技”の部分をテレビで初めて見た人たちが、騙されて「ヤラセ」だと言っているんじゃないでしょうか?