カルチャー
万引き対策専門家・伊東ゆう氏インタビュー前編

万引き番組のウラ側をGメン暴露! 「カメラがバレた!」過酷な撮影現場の実態

2018/11/23 16:00

海外ロケの一幕

――伊東さんはTBS系『ジョブチューン~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!』やフジテレビ系『おたすけJAPAN』などで、実際に撮影隊の前で、日本や海外の万引き犯を捕捉していますが、撮影現場で捕まえるのは大変ですか?

伊東 『おたすけジャパン』(※海外で困っている人のところへ日本のプロフェッショナルが派遣され、お助けするというバラエティ番組)でインドネシアのスーパーに行ったときは、現地のコーディネーターに頼んで、事前に店舗のレイアウトを送ってもらいました。入手した資料を基に「やるならこの辺だろうから、こことここにカメラを置こう」などと打ち合わせてから現地入りしたのです。でも、いざ行ってみたら全然いなかった。そもそも客がいなかった(苦笑)。かなりキツかったですけど、1週間の撮影予定の最終日に、なんとか1人捕まえることができました。

――海外まで行って、捕まえられなかったら絶望的ですね。

伊東 どの国も関係なく、スーパーでの撮影は難しいんですよ。スーパーの万引きは基本的に「人混みに紛れて」ですから。平日の混んでる時間帯に行くと常習者が紛れています。『ジョブチューン』の時は、5日で8人捕まえました。お客さんの多いスーパーでは、1日1人は、万引きする人が必ずいる。 そう信じてやっているわけです。

 こういった撮影を成功させるには事前のリサーチと準備がかなり大事です。その店舗で混む曜日の確認、あと天候ですね。雨が降ると来ないところが多いです。カレンダーで言うと、万引きが活発になるのは給料日前と生活保護の支給前ですね。撮影中も気が抜けません、食事休憩や撮影機材のメディアの交換などで、万引き犯が「普段と雰囲気が違う」と撮影隊の殺気のようなものを感じ取って、バレたりしてしまうんです。なので、撮影で捕まる犯人の多くは空気の変化にまったく気づかない老人、油断している常習犯ばかりになります。

――万引きを実行する瞬間を映像で押さえるには、撮影ポイントに気を使いそうですね

伊東 まず開店前に下見して、万引き犯が盗りそうなスポットに定点カメラを置いたり、買い物カートに仕込んだりしています。私が一緒に仕事をしているテレビマンたちは、『警察24時』とか詐欺の潜入調査とか、皆さんがテレビでご覧になっているような事件系の番組のスタッフが多いですが、お店にお買い物に来られているお客様に紛れて撮影をすることが初めてなんていう方も。最初は戸惑ったり、挙動不審になったりして、「不審者がいる」と、警備室に通報されたこともありました。

――万引きする瞬間を映像に収めるのは、そう簡単ではないと。

伊東 万引き犯を捕捉する仕事は、言うなれば心を読む仕事です。撮影現場でも、私が万引き犯の心を読んで、その心理的変遷を実況し、撮影ポイントまでガイドしている感じですね。インカムで常に撮影隊同士は会話していますから、ディレクターさんやカメラマンさんが私の声を聞いて動く。「この人ですよー」とか「いま5番通路に入りました」とか「そこ曲がったら入れますよ」とか。

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