万引き番組のウラ側をGメン暴露! 「カメラがバレた!」過酷な撮影現場の実態
「112.702」
この数字は警視庁が2016年に検挙した万引き犯の人数です(『平成29年版 犯罪白書 窃盗 認知件数・検挙件数・検挙率の推移』より)。1件ごとの被害額は少額でも、個人経営のコンビニや書店などの小売店にとって被害が重なれば大変な打撃になり、万引きが一因で閉店に追い込まれる店舗もあります。店舗側も指をくわえて見ているわけではありません。万引き犯取り締まり専門のセキュリティースタッフを配置して防衛しています。いわゆる“万引きGメン”です。
本サイトでは、オンナ万引きGメンの澄江さんが、さまざまな現場で出会った万引き犯についてレポートをしていますが、テレビでも万引きGメンの特集はたびたび放送されています。また、第71回カンヌ国際映画祭にてパルム・ドールという最高の賞を与えられ、一躍注目を浴びた是枝裕和監督の『万引き家族』も、そのタイトルの通り、万引きが大きなテーマに取り上げられた作品です。
今回、『万引き家族』の制作協力やテレビの万引きGメン特集にもたびたび出演し、本サイトの澄江さんのコラムも監修している、万引き対策専門家の伊東ゆうさんに取材を行うことに。『万引き家族』協力の経緯やテレビの万引きGメン特集の知られざるエピソード、Gメンだけが知る万引き犯の実態をお伺いしました。
『万引き家族』は別タイトルだった
――『万引き家族』は世界的に注目されましたね。協力のきっかけはなんだったんですか?
伊東ゆうさん(以下、伊東) 「是枝監督の新作映画『声に出して呼んで(仮)』に、家族で万引きするシーンがあるから協力願えませんか」というメールがきて、面白そうだなぁと思って制作事務所に出向き、レクチャーしました。私も映画が好きなので、ノーギャラだったけど喜んでお受けしたわけです。
――元々のタイトルは違っていたんですね。是枝監督とは話したんですか?
伊東 確かそんな感じのタイトルで、『万引き家族』なんてタイトルじゃなかったですね。だから公開されて「あれ?」となりました。実は、製作スタッフの方たちとお話しただけで、是枝監督とは会ったことないんですよ。誰が出るとかもまったく知らなかったですね。タイトルが変わったのも、万引きっていう字面がやっぱりインパクト強かったのかなぁって。
――レクチャーでは、どんな内容のお話をしたんですか?
伊東 詳しくは言えないですけど、万引き現場の写真を見せたり、家族でやるときの手口を教えたり。各地で万引き対策の講演会もやっているので、そういった資料を交えて説明しました。嵐の日に呼び出されて、2時間くらいインタビューを受けました。