「大量獄死時代」がやってくる? 元女囚が考える、ムショの高齢化と医療問題
だいたいお医者さんの免許を持つ人の中に、「刑務所のお医者さんになろう」と思う人は、どんだけいてるのでしょうか? まずいないのとちゃいますかね。私なら、なってみたい気もしますが、そもそも免許がないですけどね。
懲役って、指がないとか刺青があるとか以前にコワい存在ですよね、患者であっても普通に。ナニ言われるかわかりませんしね。ほなら、どんな人がムショでお医者さんになるんでしょうか?
知り合いの弁護士さんに聞いたら、「そんなもんシャバで問題起こして、居場所がないヤツに決まっとる」ゆうてました。不倫とかで職場にいづらくなって辞めても、ムショならすぐに採用してくれるそうですよ。しかもお医者さんの不倫は「わりと多い」らしいです(笑)。
まあ徳島刑務所で問題になった医者は、「懲役のようなワルモノはワシが懲らしめたる」と言うてたらしく、「たまにはそんなんもいてる」そうです。つまり「そもそも希望者が少ないから、ほぼロクなのがおらんのが刑務所の医者」ちゅーことらしいんですよ。
先日は、「外部のお医者さんの治療」を希望した大親分が裁判で負けて話題になりましたが、ロクな医者がいてないのに、かかりつけのお医者さんの診察を認めないのはおかしいですね。「大親分でも特別扱いしない」ちゅーことなんでしょうが、医者が少ないんですから、認めたったらええのに。
これからは、懲役の高齢化がもっと進んで、お医者さんも少子化で減って、刑務官も厳しい労働で成り手がいませんから、ムショは地獄になると思います。懲役の親族も面倒なんか見てくれないので、ほとんどが獄死です。だから、獄死者が大量に出ると思います。もっとも孤独死はないですけどね。
まあムショに行かないのが一番です。私はもう二度と行きませぇーん。
中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」
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