「大量獄死時代」がやってくる? 元女囚が考える、ムショの高齢化と医療問題
覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
■がんが全身に転移して手遅れに
いつもは楽しくノリノリの瑠美ですが、今回はちょっとマジなお話です。少し前に、ムショで一緒やった友だちのAちゃんががんで亡くなりました。亡くなったのは出所してからのことでしたが、私は「ほとんど獄死」と考えています。
ムショいうところは、病気になってもギリギリまで放置することがほとんどで、「執行停止」になって、ムショから外の病院に移されて治療を受けられる時は、「もう死ぬ」ちゅーことです。Aちゃんも、ずっとムショで「おなかが痛い」ゆうてたのに、ほとんど取り合ってもらえず、やっと出所して病院で診察を受けた時には、がんが全身に転移していて、もう手遅れでした。悔しかったやろうなと思います。
■ムショにはろくな医者がいてません
刑務所の医療については、何回か書かせていただいていますが、ホンマ「お粗末」の一言です。
だいぶ前、2007年に徳島刑務所で大勢の懲役(受刑者)が暴れた暴動事件がありましたが、これは医療の不満が主な原因といわれています。1人が消火器をまいたのを合図にいっせいに立ち上がり、飛んできたウルトラ警備隊(ホンマは「特別警備隊」です)を倉庫に拉致ってボコったりと、映画みたいやったそうです。
まあこの事件は不満ちゅーよりも、「診察に必要もないのに肛門に指を入れて出血させた」とか「腰が痛いのは太りすぎやからと絶食させた」とかムチャクチャな医者がいてたんで、ほかとは違う気もしますけど、だいたいの医者はひどいです。
ちなみに私の知り合いは高熱が出てるのに「チン○をいじられた」そうですが、風邪を放置されて肺炎になって亡くなった方もいらっしゃるそうです。さすがに女子刑はそこまではないですが、ちょっとした発熱や腹痛では、ほぼ放置されます。理由は、お医者さんが足りないからです。