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高橋一生、『僕らは奇跡でできている』が初主演作として“ある意味”成功といえる理由

2018/10/29 21:00

 今のテレビドラマで注目を浴びるのは主役よりも脇役である。物語も、1人の圧倒的なスターが活躍するものは減り、複数の登場人物が描かれるものへ移行している。

 そんな時代に、脇役から人気俳優として躍り出たのが高橋一生。現在37歳で、1990年に映画『ほしをつぐもの』で子役デビューを果たしたキャリアの長い俳優だ。スタジオ・ジブリのアニメ映画『耳をすませば』で、ヒロインがあこがれる男の子・天沢聖司の声を演じたことでも知られている。2001年からは劇団扉座に入団し、舞台で活躍する傍、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)や、岩井俊二の映画『リリイシュシュのすべて』などさまざまな作品に出演。名バイプレイヤーとして知る人ぞ知る存在だった。

 大きな転機となったのはテレビドラマ『民王』(テレビ朝日系)だろう。本作は総理大臣が、息子の心と体が入れ替わってしまったことから起こる混乱を描いた政治コメディだ。高橋は総理大臣の第一秘書・貝原茂平を演じ、スーツが似合う優秀な秘書だが毒舌家というクールなキャラで人気を獲得し、本編終了後には貝原を主役にしたスピンオフドラマ『民王スピンオフ~恋する総裁選~』まで作られた。

 この作品でコメディ俳優としての評価も高まった。高橋の演技は淡々としているが、時々変な顔をしたり、過剰に首を傾げて相手を見るようなことをする。それが妙な“間”となり、見ている側はだんだん癖になってくる。普段のシリアスな演技がしっかりしているからこそ、少しズラした時に笑いが生まれる。一見地味だが、細かいところで変な芝居をしている高橋に気づくと、「私が見つけた。私だけが彼の魅力がわかる!」という喜びが生まれ、それがコアなファンの急増につながったのだろう。

 この『民王』以降、高橋の人気は高まっていく。17年に放送された坂元裕二脚本のドラマ『カルテット』(TBS系)では、男版不思議ちゃんとでも言うべき愛すべきダメ男・家森諭高を演じ、その人気は決定的なものとなる。同年には、大河ドラマ『おんな城主 直虎』、連続テレビ小説『わろてんか』(ともにNHK)、そして月9ドラマ『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?』(フジテレビ系)と立て続けに出演。雑誌「an・an」(マガジンハウス)ではセクシーグラビアも披露し、まさに“高橋一生イヤー”と言っても過言ではない活躍だった。

 だが、それだけに今後の展開が大変だろうとも感じていた。普通に考えれば、次は主演作が回ってくるポジションだが、『民王』も『カルテット』も脇役だからこそおいしい役柄だったからだ。

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