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ドラマレビュー
佐藤健、『半分、青い。』律役と『義母と娘のブルース』麦田役で光った「静と動」
2018/10/15 21:00
つまり、心理表現は繊細だが、アクションは豪快という二面性こそが、佐藤の本領だが、演技面でもアクションシーンのような激しさを感じさせたのが、『半分、青い。』と同時期に放送されたドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)だ。
本作はキャリアウーマンの女性・宮本亜希子(綾瀬はるか)が、血のつながらない娘を育てることになった10年間を描く物語で、佐藤が演じたのは、亜希子が働くことになるパン屋の店長・麦田章。麦田は何をやっても仕事が長続きせず、職を転々としていたダメ男で、家業のパン屋を亜希子と立て直すことで一人前の男に成長していく。
麦田は、律のような繊細な青年とは真逆の、少しヤンキー要素の入った若者だ。脚本の森下佳子は佐藤が主演を務めたドラマ『天皇の料理番』(同)の脚本も担当しているが、こちらで演じた料理人を目指す若者・秋山篤蔵も、短期で気性の激しいやんちゃな青年だった。おそらく、アクションの時に佐藤が見せる激しさを感情表現に落とし込んだのだろう。
律と麦田。同じ時期に真逆の役を演じた佐藤の振り幅の広さには驚くものがある。もしかしたら『仮面ライダー電王』の良太郎のように、イマジンが何体か取り憑いているのかもしれない。
(成馬零一)
最終更新:2018/10/15 21:00