「TOEIC」が信頼できない3つの問題点! 『TOEIC亡国論』が指摘する欠陥とは?
学校教育や入社試験などでも、英語力を測るテストとして広く用いられている「TOEIC」。しかし、一部の語学専門家からは、このテストには欠陥が多く、実用的な英語能力を測るには適していないとの指摘が上がっている。そもそもTOEICとは、どのようなテストなのか? なにが問題視され、また代替策などはあるのか? ポリグロット外国語研究所主宰で、『TOEIC亡国論』(集英社新書)の著者である猪浦道夫氏に聞いた。
■問題点1)日本と韓国しか通用しない
TOEICとは“Test of English for International Communication”の略称で、日本では「国際コミュニケーション英語能力テスト」と訳され、英語を母国語としない人を受験対象にした検定試験のことだ。
1979年、日本経済団体連合会と当時の通産省(現・経済産業省)の要請を受けたアメリカの非営利団体“Educational Testing Service”によって開発され、運営や試験結果の評価もこの団体が行っている。2016年度には、150カ国、約700万人が受験しているというTOEIC。日本では、あたかもグローバル・スタンダードな英語力検定テストだと思われているが、実態は異なると猪浦氏は指摘する。
「英語関係者の間では、TOEICは日本と韓国だけでしか知られていないと認識されています。実際、受験者700万人のうち、約4割を占める271万人が日本人。そもそもこの試験の成り立ちからして、日本の経産省がアメリカの団体に依頼して作成されたテストなので、日本以外では知られていないのも、ある意味当然といえます」
日本人による日本人のための検定試験といえるTOEIC。多くの日本企業が入社資格などとして高得点を取ることを課しているが、国際基準のテストとはいえないのだ。