King & Prince、新幹線遅延で莫大な賠償金はホント? 「ジャニーズに払う義理なし」と弁護士解説
最初に、“新幹線を遅延させること”は、何らかの罪に該当するのかという点について、山岸氏は次のように解説する。
「遅延させるだけでは、特に刑事罰はありませんが、何か物を投げつけたりすると、鉄道営業法第40条(列車ニ向テ瓦石類ヲ投擲シタル者ハ科料ニ処ス)違反に該当するようです。ただ、『新幹線を時間通りに運行させる』というJRの業務を妨害したという点が、悪質であれば、『威力業務妨害罪(刑法233条。3年以下の懲役または50万円以下の罰金)』に該当する可能性があります」
「威力業務妨害罪」に当たる可能性があるのは、当然、ジャニーズではなくホームに殺到したファン側。山岸氏も「ジャニーズ事務所が処罰されることは、まず、あり得ません」と見解を述べる。
また、「電車を遅延させると莫大な損害賠償が請求される」という都市伝説については、「ダイヤが乱れ、そのために職員が超過勤務したり、振替輸送が発生したりなど、遅延により“余計にかかった費用”が損害です。新幹線のダイヤは、かなり複雑に仕組まれていますし、ほかの列車にもさまざまな影響を及ぼすので、場合によっては大きな損害額になることもあります」というが……。
「とはいえ、今回の遅延が『800万円程度の損害』とは、“マユツバ”です。まずあり得ません。また、一部のファンが起こしたことですし、ジャニーズ事務所が損害を賠償する義理もありません。もっとも、世間体を気にしたジャニーズ事務所が、“お詫び料”をJRに払った可能性はありますが」
ネット上では、一部のファンが、「ジャニーズが賠償金を支払った」=「キンプリメンバーが懸命に稼いだお金が、今回の遅延トラブルにあてられた」と信じ込み、義憤にかられているが、そのような話は現実的ではないようだ。
最後に山岸氏は、ルールを無視する追っかけファンに、警鐘を鳴らす。
「人の出入りが禁止された場所などに、ファンが追っかけ行為のために侵入した場合、『住居侵入罪(刑法130条。3年以下の懲役または10万円以下の罰金)が成立します。また、追っかけ行為が、つきまといや待ち伏せなど、タレントの生活の平穏を害するような態様になる場合は、『迷惑防止条例違反(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)』となる可能性もあります』
一歩間違えば、罪に問われかねない危険な行為はただちにやめ、アイドルとファン双方がよりよい関係を築いていけるよう、心がけてほしいものだ。