「痩せる油」は幻想? ココナッツオイル、MCTオイル……栄養士が「ダイエット効果の真偽」解説
ココナッツオイルとは、名前の通りココナッツから抽出精製されたアブラである。油脂類は“飽和脂肪酸”が豊富な常温で固体の脂(バター、ラード、牛脂など)と、 “不飽和脂肪酸”の多い常温で液体の油(魚類やオリーブオイルなど)に大きく分類される。ココナッツオイルは常温で固体であり、“飽和脂肪酸”が豊富なアブラある。
「飽和脂肪酸は、普段の食事で十分に摂取できるので、自ら積極的に摂らなくても不足しないことが多いです。むしろ、コーヒーに入れて飲むなどの過剰摂取してしまうと、アメリカ心臓協会が指摘したように『心血管疾患の原因となるLDL(悪玉)コレステロールを増加させる』ことになり得ます。つまり、ココナッツオイルも過剰摂取は禁物。“毒”はさすがに言いすぎだと思いますが、そう指摘する気持ちはわからなくもないですね」
ココナッツオイルは、飽和脂肪酸の中でも、体脂肪として蓄積されづらく、エネルギー源になりやすいとされる“中鎖(ちゅうさ)脂肪酸”を多く含んでいるとのこと。それによって、世間では「ココナッツオイルは太りにくい=ダイエット」と認識されてしまったようだ。
“毒”とまでいわれてしまったココナッツオイルだが、これからは摂取を控えた方がよいのだろうか? 平井氏は、「あくまで“過剰摂取”がよくないというだけで、普通に摂る分には問題ない」と語る。
「毎日コーヒーに入れたり、食べ物に混ぜたりという過剰摂取をしなければ、ココナッツオイルは悪いものではありません。LDL(悪玉)コレステロール自体、細胞にエネルギーを届けてくれているものなので、必要といえば必要なんです。多すぎたらいけない、というだけ。ココナッツオイルに関して、あまりに根拠のない話が広まっているから、ハーバード大学のカリン教授は、あえて“毒”という表現をして、世間に警鐘を鳴らしたのだと思いますよ」