レディー・ガガ初主演映画『アリー/スター誕生』は、「いじめられてブスだと思っていたころの自分を投影」
10年前、自ら作詞作曲を手掛けたデビューアルバムが世界的大ヒットとなり、スターダムを一気に駆け上がったレディー・ガガ。
歌手として大成功を収めた彼女は、3年前に超人気テレビドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』に出演し、ゴールデン・グローブ賞テレビドラマ部門主演女優賞(ミニシリーズ/テレビ映画)を獲得。授賞式で「歌手のくせに女優ごっこかよ」と言わんばかりに爆笑していた俳優レオナルド・ディカプリオを、壇上に上がる際、さりげなくどついて話題を集めた。
そんなガガの映画初主演作『アリー/スター誕生』が、現在開催されている第43回トロント国際映画祭のガラ・プレゼンテーション部門に出品された。「世界的スターに才能を見いだされた、“地味で自分に自信がなかった”アリーの成功と葛藤、自分を信じてくれるスターとの激しい恋愛」を描いた同作は、ベネチア国際映画祭での評価も上々。9月9日に行われたトロント国際映画祭のレッドカーペットセレモニーで、ガガは「この映画には、いじめられていたころの自分が投影されている」と明かした。
米誌「VARIETY」のレポーターから「若いステファニー(ガガの本名)がこの作品を見たら、どんな反応をするでしょう?」と質問されたガガは、息を漏らしながら「涙を流すでしょうね」「だって自分が銀幕の中にいるのだから」と回答。
続けて、「この作品には若いころの自分を投影しているの」「自分自身を信じることができなかったころ。学校でいじめられて、自分はブスなんだと感じていたころ。逃避できる唯一の手段が音楽だった。私が歌い、作詞作曲をし、演技をするようになったのは、つらい現実から逃れるためだったの」とかみしめるように語り、「だからステファニーがもし今の自分を見たら、とても恐縮するでしょうね。そして、びっくりすると思うわ」と感極まった表情を見せた。
ガガは2011年に英紙「Guardian Weekend」のインタビューで、14歳のころにすさまじいいじめに遭ったことを告白。言葉の暴力を受けただけでなく、「男子たちにゴミ箱に放り込まれ、それを女子たちが見て笑っていた」と屈辱的な仕打ちをされたことも明かしている。ガガの母親も米ニュースサイト「The Daily Beast」で、「娘は個性的だったから、クラスメイトからひどい言葉をかけられ、屈辱を与えられ、仲間はずれにされた」「娘は自信も自尊心を失い、精神的に追い詰められてしまった」と激白。「だからこそ、娘は若いファンの気持ちがよくわかる」とも話していた。
自分のつらい経験を投影させたガガの演技力と、感情のこもった鳥肌モノの圧巻の歌唱力。そして、初監督も務めた主演男優ブラッドリー・クーパーとの好相性もあって、辛口だといわれる映画批評サイト「Rotten Tomatoes」でも、95%の批評家が高評価している『アリー/スター誕生』。早くもアカデミー賞最有力候補に挙がっている本作は、日本でも12月21日に全国公開される予定だ。