カルチャー
インタビュー後編

ディズニーランド、“ブラック体質”の土壌は? 従業員が「夢の国に縛られる」という魔術

2018/08/31 19:00
東京ディズニーリゾート公式サイトより

 ディズニーリゾート運営会社・オリエンタルランドが抱える、非正規雇用従業員の労働問題。前編では、「労働組合なのはなユニオン」の委員長・鴨桃代氏に、これまで非正規雇用従業員から相談を受けた問題の具体例をうかがった。後編では、オリエンタルランドが、なぜそのようなブラック体質になってしまったのかを、鴨氏とともに、ひもといていきたい。

(前編はこちら)

現場のスーパーバイザーの教育に疑問も

――オリエンタルランドがブラック体質である原因として、考えられる点は何ですか?

鴨桃代氏(以下、鴨) 交渉をしている中で感じるのは、会社と現場に齟齬があるのではないかということです。私たちが交渉するのは会社ですが、従業員に業務指示をしたり、面談や評価をしているのは現場のスーパーバイザーです。雇い止めや賃金の切り下げなどの問題が一度の交渉で解決するということは、会社と現場で考え方に相違があるか、スーパーバイザーの教育が行き届いておらず、会社の意図が現場に浸透していないことが考えられます。

 また、オリエンタルランドの指揮命令系統は縦割りらしく、横の行き来ができないというのも問題が生まれやすい原因かと思います。例えば、暇なときは忙しいエリアにヘルプで入ることができれば、シフトを削られるなどの問題を解消できるのではないかと提案したこともあるのですが、「縦割りなのでできない」との回答でした。

――本来は、オリエンタルランドの労働組合「OFS」が取り組むべき問題と感じますが、組合入会後も、なのはなユニオンに相談する非正規雇用従業員の方は減らないんですよね。

 組合員になった後で、相談に来られた方の話では、OFSの説明や入会のサインを求めてきたのが、スーパーバイザーや店長だったとか。つまり、理不尽な通告や指示をしてくる担当者がOFSの窓口でもあるわけで、不満を抱えても相談できないんです。「じゃあ、非正規雇用従業員は、どこに相談すればいいの?」という素朴な疑問が湧いてきますよね。実はオリエンタルランド内にも、従業員の相談を受け付ける部署が設置されているとのことですが、相談しても改善されない、「ただ話を聞いてくれるだけ」という印象を相談した人は持つようです。

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