死ぬ時まで続くシャブとの闘い——元女囚が語る、清原和博がクスリにハマった理由
覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
■大スターの寂しさを正直に「告白」
毎日、ホンマに暑いですね。地震や洪水の被害の報道は減ってますけど、まだまだ困ってはる人、多いですよね。心よりお見舞い申し上げます。
さてさて、ようやく清原和博さんの『告白』(文藝春秋)を読みました! いろんなところが泣けました。ネタバレしないようにご紹介しますね。
今週は、前から清原さんの本について書こうと決めてたのですが、なんと清原さんのお誕生日は、「8月18日」でした。掲載は当日ではないですけど、「お誕生日おめでとう」と、この場を借りてお伝えしたいと思います。
裕福ではないおうちから野球で活躍してスターになるなんて、普通に考えたら、ごつい話です。でも、清原さんはずっと寂しかったんですね。本にもそれがいっぱい書かれていました。
私も経験ありますけど、クスリに手を出すのは、「寂しい時」なんです。スポーツ選手として活躍できる時間は長くないし、家族や友達が離れていって、寂しくなって、つい手を出してしまったのでしょうね。その寂しさは、自業自得によるところもあるでしょう。それにつけ込んでくる不良もいてますしね。ちうか、そもそも寂しいのは、清原さんだけと違いますよね。でも、寂しい。耐えられない。
その気持ちは、めっちゃわかります。私もクスリを使っている間だけは、寂しさを紛らわすことができました。注射器にクスリと水を入れて溶かす時間、針を刺しやすい血管を見つける時間、針を刺してクスリが体に入る時間……。ほんの数分です。クスリですべてを忘れられるのは。すぐにクスリの効き目は切れて、また寂しい気持ちに襲われます。せやから針を刺すたびに、「もうこれきりにしよう」「今回で終わりや」と思うのですが、なかなかやめられませんでした。これは私だけでなく、清原さんも、多くの中毒症状のある人なら経験していることと思います。
罪悪感を持ちながら、けっこう冷静に考える「自分」を、ちゃんと見てるんです。こんな地獄から出たいと、みんな思うてるんです。心の中では苦しんでる「ポン中」を温かい目で見守ってあげてほしいのですが、なかなかそうもいかないでしょうね。私も、今でも「まだクスリをやってるんだろ」と、よう言われます。悔しいですが、過去が過去ですから、これからの行動で証明していくしかありません。