私立高校生が「TENGA」盗んで号泣、幼稚園児の犯行も頻発――Gメンが明かす少年万引きの実態
そして夏休みになると、毛染めや花火、バーベキューセットを盗みに来る少年少女が急増します。これは毎年必ず起こる現象で、我々保安員からすれば、夏の風物詩みたいなものだと言えるでしょう。年齢確認が厳しくなったことで、店頭での入手が困難になっていることから、お酒やたばこを狙った犯行も増えています。夏の開放感が犯行態様を派手にしてしまうのか、警備が手薄な深夜を狙って来店した高校生グループが、レジについたタバコの商品棚を丸ごと奪っていく事案もありました。後日、近くの公園で空になったレジと商品棚が発見され、犯人の高校生グループも捕まりましたが、被害弁償はされないまま現在に至っています。
夏休みには、家出中の子に遭遇することも、珍しくありません。これはあくまで私の主観ですが、学校に行ってない万引き常習者や家出中の子には、服装や雰囲気に特徴があるように思えます。男の子であれば、黒もしくは白のジャージに金のラインが入ったものを着ている確率が高く、女の子の場合には、サンリオで人気のあるキャラクターがプリントされたスウェット上下に、そのキャラクターがついた黒やピンクのサンダルという服装が定番なのです。昨年の夏に捕捉した家出少女に着目したのも、そうした服装で来店したことからでした。派手な化粧を施した金髪の少女が、そんな服装で店に入ってくれば、注視しないわけありません。案の定、飲食物のほかに、洋服や下着、歯ブラシセットなどまでバッグに隠した金髪の少女は、何も買うことなく店の外に出ていってしまいました。盗んだブツが家出少女であることを暗示しており、嫌な予感を抱きながら彼女に声をかけて事務所に連れて行くと、半年近く家には帰っておらず、友人の家を転々としていると告白されました。
「どうして家に帰らないの? 食べるのも大変でしょう?」
「親が離婚して、ママが新しい男連れてきてウザいんだ。金なくなったり、泊めてもらえないときは援交してるから大丈夫」
「そんなに嫌な人なんだ」
「ちょっとしたことで怒るし、なにかと体触ってくるから嫌なんだ。あんなヤツと同じ家で暮らせないよ」
その後、警察に引き渡された彼女は、親に引き取られることを拒否して逮捕されることになりました。それ以上のことを知る術はなく、その日は悶々とした気分で帰宅したことを覚えています。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)