「こんな学校情けない」難関私立中の長女と、中学受験失敗の次女を比べ続けた“母の懺悔”
絵里さんは代々、開業医として地域に貢献しているという一族の夫と結婚した。ほどなく息子が生まれたが、周囲から発せられる無言のプレッシャーに押し潰されそうな毎日を送っていたという。
跡継ぎを産むのは当然、その先の産院、通う幼稚園、小学校、中高、大学、そして学部までもがすでに決められていたという。絵里さんに悩む余地を与えないとばかりに、 “御用達”が歴然と存在しているのだそうだ。
長男はある意味、とても素直で、またとても負けず嫌いな性格だったといい、親族一同の期待に見事に応えているらしい。ところが、絵里さんにとっての悩みの種が次男だそうだ。
絵里さんいわく「まったく勉強が好きではないのに、妙に自信があるタイプで、要領だけは良かったんです。それで、まさかの“ミラクル合格”をしてしまいました。親戚にはどうにか顔向けが立ったのですが、元々、勤勉タイプではないので、秀才だらけの学校で付いて行けるわけもなく、次男はアッと言う間に劣等生。それを自分でも認めたくなかったのでしょう、今や立派な不登校です」。
しかも、それ以上に問題なのが、「付いていけないのだから、学力レベルの合う学校に転校しなさい」と言う絵里さんの助言に、次男が耳を貸さないことだという。
「変なプライドだけがあるんでしょうね。『○○中学に在籍している偉い俺』というプライドを捨てきれないのだと思うのですが、転校話をすると暴れるようになりました。“秀才”で通っているお兄ちゃんが目の上のたんこぶなのか、兄弟仲も本当に悪くて……。“御用達”学校だからと言って、我が家全ての人間に合うわけがないんですよね……」
そして絵里さんは力なく筆者にこう言った。
「時が戻るなら、中学受験に遡って、次男に合う学校を選び直したい……」