コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

「こんな学校情けない」難関私立中の長女と、中学受験失敗の次女を比べ続けた“母の懺悔”

2018/08/12 16:00
Photo by Photography from AC

 中高一貫校には、創立百周年越えという学校もたくさん存在する。それゆえ、祖父、父、息子、孫、もしくは祖母、母、娘、孫という4世代それぞれが、同じ学び舎で青春を過ごすことも特段、珍しい話ではない。

 私学はもともと、同校の“ファンクラブ会員”の集まりのような側面があるので、代々にわたる熱狂的な“ファン”がいる。そんな場所には、やはり、そこでしか吸えないだろう空気が満ちているように、筆者は思うのだ。

 先日、取材させていただいたある女子校の体育祭で、こういう光景を目撃した。伝統種目の“ムカデ競争”の必勝法を、生徒たちに熱心に伝授しているマダムがいたのだ。聞けば、マダムはその輪の中にいる生徒のおばあちゃんで、自身がここの卒業生だという。OG直伝の秘技を授けられたチームは、見事ぶっちぎりの1位を獲得して大喜び。そのマダムの目からは溢れるものがあり、良い光景だなぁと筆者は微笑ましく眺めていた。

 すると、やはりこちらのOGでいらっしゃる校長先生までもが、その姿にもらい泣きしているのを発見。私学の伝統行事には、その一つひとつに創始者の思いが込められており、それを襷として、連綿とつなげているのだなぁということに、改めて感じ入ったのだ。

 私学では、一族全体で母校が同じというケースもあるが、親子で同じ、または兄弟姉妹で同じというお宅がかなり多い。それゆえ、子どもの個性を無視して「親がそこを出ているから」あるいは「兄・姉がそこに入ったから」という理由だけで、下の子にその学校を自然と推してしまう親が大勢いるという事実もある。

 その学校が子どもに合っていれば、「勝手知ったる安心感の中で、健やかに成長できる」点がメリットとなるが、子どもの個性を無視して、合わない学校に進学させた場合、その子にはかなりの負荷がかかることになるので、親たる者、やはり注意が必要なのだ。

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