「もし子どもが熱中症になったら」幼稚園へのエアコン設置要望は、なぜ通らないのか?
このように、私立幼稚園などでは、長らく保育を行ってきた園長の教育方針によって、エアコンを設置していない園も存在している。しかし月齢が低い0歳時からの預かりをしている保育園では、今年の猛暑はエアコンなしで乗り切るのには、何らかの対策を講じなければ難しいのでは、と考えさせられる。
認証型保育園で保育士をしている梅本さん(仮名)は、この暑さで保育士も体力的にバテてしまいそうだと語る。
「うちの園には、全ての保育室にエアコンがついていますが、基本的には気温が30度を超えるまでつけてはいけないルールになっています。通常は扇風機を使うように指示されているんです。今年は連日30度超えの状況なので、全保育室フル稼働でエアコンを使っているものの、保育士の休憩室はエアコンなしの状態。園長は、表向きに“節電のため”と言っているのですが、エアコン代がかかるための処置だと思います」
彼女が働いている保育園以外にも、節電対策を行っている園は多い。暑さに弱く、体温調節が難しい0~1歳児の保育室は、一定の温度と湿度を保つ必要があるが、ある程度体力がついてきた4~5歳児クラスになると、扱いが変わってくる。恵美子さん(仮名)は、職場が契約している保育所に、5歳になる娘を通わせている。彼女は、保育所に迎えに行くと室内が外気とあまり変わらないように感じるという。お別れの会が終わった午後4時を過ぎると、園児たちは、お遊戯会などを行う大教室に移動するそうだ。
「以前まで、3歳児以上は、それぞれの保育室で親の迎えを待っていたんです。今は、0歳児と1歳児はそれぞれの保育室にいますが、2歳児以上は全て大教室での合同保育になりました。保育園なので、設備費などは支払っていないのですが、電気代をケチっているような気がしてならないんです」
いくら大きな教室とはいえ、日によって、子どもたちはすし詰め状態となり、室内の温度はどうしても上昇する。恵美子さんは、園長に学年別の保育ができないかお願いした。
「保育士不足や、子どもたちの縦割り保育のため、難しいと説明されました。娘は汗っかきなので、暑さのこもった部屋で過ごすと汗疹が心配なんです。帰るとすぐに着替えさせるのですが、背中一面汗でびっちゃりで、これで本当に室温は保たれているのかなって疑問に思います」