「もし子どもが熱中症になったら」幼稚園へのエアコン設置要望は、なぜ通らないのか?
保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。
連日気温40度に迫る勢いの猛暑。オフィスや公共施設は当たり前に設置されているエアコンだが、公立小中学校のエアコン設置率を見ると、最も高い東京都の99.9%(文部科学省「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査の結果について」より)に比べ、愛媛県は5.9%でほとんど設置がされていない状況と、地域差が激しい。義務教育の現場である小中学校でさえ、エアコン格差が生じている。
今年の殺人的な暑さは、熱中症などを起こしかねず、子どもの命にも関わってくる問題。体が未発達な園児たちが通う保育園や幼稚園は、どのような対策をしているのだろうか。首都圏に住む典子さん(仮名)は、3歳になる娘を私立幼稚園に通わせている。この幼稚園の教室にはエアコンがないため、日中は天井に付いている扇風機で過ごしているという。
「幼稚園を選ぶときには、何園か見て回りました。でも、ここまでの猛暑は経験したことがなかったため、エアコンの設置状況にまで気が回りませんでした。また、園内見学は新年度が落ち着いた6月頃が多く、当時は暑さを感じなかったんです。今は、夏休み期間ですが、休み中の登園日や、預かり保育を利用している子もいるのに、エアコンがない園で大丈夫なのか心配になります」
幼稚園は保育園とは違い、8月中は夏休み期間のため通常保育を行わない園が多い。そのため、保護者からの要望があってもエアコンの設置は進みづらいという。園側からは、暑さが残る9月には、水まきやプールなどを行うことで、暑さを回避すると説明されたそうだ。
「これまでは、園で用意したお茶を飲んでいましたが、あまりの猛暑なので、登園時にも飲めるようにと、水筒持参になりました。帰るときにはいつも空っぽなので、それくらい暑いんだと思います」
園のママ友の中には、子どもの熱中症予防のために、夏季休暇中の登園を控えている家もあるという。
「園からは、『園内には緑があって風も吹き抜けるので、エアコンの必要がない』と言われたらしいです。夏の間、毎年、園庭を裸足で歩く裸足保育が実施されていたのですが、今年は猛暑のため父兄からの反対があり、外履き着用可となりました」