「人類の奇跡」「スター」の山下智久が、KinKi Kidsの前で見せた“キュートな弟”ぶり
今回ツッコませていただくのは、映画『劇場版コード・ブルーードクターヘリ緊急救命―』の宣伝で山下智久がゲスト出演した『KinKi Kidsのブンブブーン』(フジテレビ系、7月28日放送分)。
キンキと山下という組み合わせはかなり珍しく思えるが、冒頭で山下はキンキとの関係性について次のように説明する。
「元お二人の専属ダンサーで、ツアー回らしてもらってました山下です。よろしくお願いします!」
ちょっと後ろに下がり、2人の隙間から見える位置に立つと、「青春時代にお二人をこういう角度で見てました」と言う。これだけでジャニーズファンは、「おなじみの構図」としてピンとくる。だが、山下は一般目線でさらにわかりやすく補足する。
「当時、ジャニーズJr.の最高級のポジションが、お二人の真ん中で踊ること。最も地位の高いポジションだったので」
雑誌などでいつも語っているように、「当時は忙しすぎてあまり記憶がない」というキンキの2人。だが、キンキが自分たちの曲より、SMAPのバックで踊っていた時代のダンスの方がずっと体にしみついているように、山下にとっては、その存在がキンキだったという。これは「Jr.あるある」だろう。
ここで、剛が「ジェットコースター・ロマンス」をかける。すると、2人の後ろでJr.の振り付けを一生懸命踊りだす山下。この映像を見られただけで、もう十分。ここだけで「神回」といえるだろう。
ところで、この回のテーマは山下が大好きだという「カップラーメン」。ご当地ラーメンが多数揃う店で好きなカップラーメンを食べようというものだ。ここで、キンキ+山下それぞれの「カップラーメン」との向き合い方に個性が見えるのが、面白い。
カップラーメンが好きすぎて専門家となった麺クリエイターが説明している最中にもかかわらず、マイペースに、気ままに、本気でカップラーメンをいくつも選んでいく剛。メーカーの意向を重視し、スープの袋を割りばしで挟んで最後の1滴まで几帳面に絞り出すこだわりを見せる光一。1人だけ「かつお」や「昆布」などの風味を敏感に感じ分けている山下。ただ食べて、比較して、というだけなのに、それだけで間が持つのはさすがスターの3人である。
さらに、山下は光一や剛の大阪のソロコンにも行くという事実が明かされる。理由は、「お二人が普段、ドームで(コンサートを)やるじゃないですか。遠いんですよ。だから、アリーナクラスで見たい」というもの。
そんな意外なキンキ愛を語る山下の脇で、何食わぬ顔で「ジェットコースター・ロマンス」をかける剛。立ち上がって後ろに下がり、Jr.ダンスを笑顔で踊る山下。その姿に目もくれずにラーメンを食べる光一……完璧な流れである。
さらに何度も「ジェットコースター・ロマンス」をかける剛→立ち上がって後ろで笑顔を浮かべ踊る山下→ラーメンを食べるキンキ、途中から寝てしまう光一、の図が繰り返され、最終的には曲を止めにいった山下が、自ら誤ってリピートを押してしまうというオチまでついた。頭の回転が速く、バラエティ力の高い3人ならではのピタリと合った呼吸である。
今もJr.が尊敬する先輩として名前が挙がるトップクラスの山下。いつでもどこにいても「スター」「人類の奇跡」なのに、キンキの前ではただの「可愛い弟」になってしまう。これは「W王子」「Wスター」感のあるキンキが、中居正広などの前で「可愛い弟」になってしまう現象と同じである。
王子やスターが後輩などにあこがれられ、崇められたりする図よりも、実は「弟になってしまう」可愛い図の方にグッとくる人は意外と多いのではないだろうか。
そうした意味で、近年あまり見る機会のない山下のキュートな弟ぶりを見せてくれた『KinKi Kidsのブンブブーン』は、山下が出演した一連の宣伝番組の中で最高傑作だったと思う。
(田幸和歌子)