「公立中に進学してたら死んでたかも」いじめを受けた女子が、私立中学受験で得たもの
ある中高一貫女子校に入学した麻美さんという名の生徒さんの話をしよう。麻美さんは、本人いわく、天然パーマで、とても細く、また色白だったことで病弱に見えたのか、小学校ではスクールカーストの “いじめてもいい”という最下層に位置付けられていたそうだ。
「ノートに落書きされる、筆箱は勝手に回される、誰も口をきいてくれない、『汚い』『ブス』『死ね』は、もはや『おはよう』という“ご挨拶”の言葉と同じだった」と、麻美さんが、そのつらかった小学校生活を振り返って、筆者に教えてくれた。
「多分、私、学習障害だと思うんです。数字が極端に苦手で、それもあって勉強も苦手で、ドンドンと自信がなくなっていって、あの頃はいつも『死にたい』って思っていました……」
麻美さんのお母さんはこの様子を大変憂いて、娘の環境を変えるべく中学受験をした方がいいと決断。それから、麻美さんに合う学校を探して、母子で何校かの学校見学に行き、ある女子校にたどり着いたという。
お母さんが、学習障害の話も含めて、教頭先生と話をしていた時、麻美さんはそこから離れて、校内に置かれたベンチに座っていたそうだ。すると、通りかかったおばあさんが麻美さんに気が付き、こう声をかけてきたという。
「あらあら、可愛いお嬢さんだこと! (花壇の)お花を見てらっしゃるの? このお花はね、生徒たちが手入れしているのよ」
普段、同級生から「ブス」と言われ続けているだけに、「『可愛い』なんて言葉が自分に対して発せられたことが不思議だった」という麻美さん。そして、そのおばあさんは、「あなたも中学受験を考えているの? そう、きっと、毎日楽しいなって思える学校にご縁があると思うわ。あなたが求めたならば、その扉はきっと開きますからね」とだけ告げ、麻美さんの元から立ち去ったらしい。麻美さんはその時、校舎全体があったかい空気で包まれているように感じたそうだ。