元極妻が考える「カジノ解禁」——マジメな日本人はギャンブルにハマると怖い
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
■依存のしわ寄せは子どもたちに
毎日暑いですね。豪雨の被災地の皆様にもお見舞い申し上げます。
国会では、被災地の対策よりもカジノ法案が優先されました。裏社会の住人だった私が言うことでもないですが、これって、おかしいですね。韓国でもギャンブル依存が問題になっていますが、マジメが美徳とされている韓国や日本のような国の民族は、いったんギャンブルにハマるとタガが外れて危険です。ばくちはヤクザにまかせて、カタギさんはしないほうがいいです。
「おとうちゃんがポーカーゲームをはじめてから、ぼくのうちお金あらへん。どうかたすけてください」
これは、『警官汚職』(角川書店)で紹介されている手紙の一部です。喫茶店のゲーム機にハマった男性のお子さんが、読売新聞大阪社会部宛てに「たどたどしいボールペンの文字」で書いてきたのだそうです。ゲーム機は違法に改造されていて、1万円札が数十分で消えたのだとか。
これを読んだ社会部記者の黒田清さん(故人)や、今もテレビでおなじみの大谷昭宏さんたちが取材を開始、裏にヤクザとツルんだ大阪府警の汚職があることをつかむというご本でした。
警察は、もともとヤクザと「持ちつ持たれつ」の関係でしたから、それ自体は驚きませんが、ギャンブルでもアルコールでも依存症のしわ寄せは小さな子どもに行くのです。かつてのヤクザ社会は、こういうしょうもない「オトン」や、その子どもたちのセーフティーネットでもありましたが、今はそうでもないですしね。カジノというと、この手紙を思い出します。
■国より良心的な、ヤクザの賭場の「テラセン」
とはいえ、私はけっこう海外のカジノの雰囲気は好きです。昔はオットのお伴で、たまに行っていました。貧乏性なので豪快に賭けてスるようなことは怖くてできませんでしたが(オットはやってました)、着飾った紳士淑女を拝見するのは楽しいですね。
でも、ラスベガスはもちろん、アジアにもマカオやシンガポールなど豪華なカジノがたくさんあるのに、今さら日本に作ってうまくいくのでしょうか? それよりも京都で舞妓さんと遊ぶツアーとか、そういうほうが日本らしくていい気がします。ていうか、そもそも庶民がギャンブルでもうけようというのがダメなんですよ。胴元がもうかるようにできているのです。
日本の公営ギャンブルの場合、控除率つまりテラセンは、オートレースが30%で、そのほかは原則25%、宝くじなんか55%ですから、ぼったくりもいいところです。かつてのヤクザの賭場はほぼ10%ですから、いかにひどいかということがおわかりいただけると思います。
つまり日本でカジノができても、そもそも観光客はそれほど多くないし、その少ない収入は国家とゲーム機メーカーなど関連業者に取られてしまうので、国民にはほとんどメリットがないのです。やっぱり国会は被災地支援策を優先すべきでしたよね。
いいニュースが少ない中で、ちょっと元気の出るご本に出会いました。
『ヤクザの幹部をやめて、うどん店はじめました。―極道歴30年中本サンのカタギ修行奮闘記―』(新潮社)
タイトルで内容がわかる、素晴らしいご本ですね。ここまで暴力団排徐が進んでしまうと、ヤクザが生きていくのは本当に大変です。カタギになって生活できる人が増えたらいいですね。
そして、なんと私の本『極姐2.0: ダンナの真珠は痛いだけ』(徳間書店)も出版の運びとなりました。タイトルが微妙ではございますが、編集者さんの自信作です。タイトルとともに、強気の価格設定にびびっております。そして、素敵なイラストを描いてくださった内田春菊先生にも感謝していますが、実物はこんなキレイではないです(苦笑)。こちらもぜひお手に取っていただければ幸甚です。