「いい人と思われたい」「感謝されたい」爆発する“主婦の欲”を、プウ美ねえさんはどう見る?
家族関係、恋愛、夫婦関係、仕事、結婚、介護、人生……サイ女読者のお悩みに“プウ美ねえさん”こと熊田プウ助が、いつもそばに置いておきたい“エプロンメモ”とともに回答します。
<今回のお悩み>
「徳の高い人間になりたいと願っています」
プウ美おねえさまのエプロンメモ、いつも最高です。私は既婚の兼業主婦、家は貧乏で子どもはアホですが、真面目に働き楽しく暮らしています。自慢できることは何もありませんが、家族仲良く幸せです。
物欲も性欲も落ち着き、残る食欲を満たしながら、毎日笑って生きていく所存ですが、最近、自分にまだ欲があることに気が付きました。それは……「いい人だと思われたい欲」そして「感謝されたい欲」です。
電車で妊婦さんやご老人に席をゆずるとき、頭では「その人が座れればいいのだ」と考えますが、お礼を言われないと、すごくがっかりする自分にがっかりします。「いい人に思われたい欲」に気づいてからは、その欲のために、意に沿わないことをしたり、好きじゃない人と付き合わないように意識できるようになりました。
家族にも他人にも押し付けてしまいがちな「感謝されたい欲」、そして感謝されなかった時に湧き上がる(相手にとっては)理不尽な怒りは、どのように思考すれば、手放すことができるのでしょう。息子がお弁当のデザートの佐藤錦を残しただけで、膝から崩れそうになります。美しく宝石箱のように並べたことに気づかないだろうとは予想していましたが、まさか食べないとは! でも、佐藤錦がいくら高級でも、息子には関係のないことなのですね。ほかの家族にも、いつも感謝や褒めを要求してしまいます。
困っている人を助けたことなど、忘れてしまうような、徳の高い人間になりたいと願っています。でも外でいいことをした日には、家でしつこく自慢してしまいます。プウ美おねえさまのお言葉をお待ちしています。(40代、しゃんしゃんさん)
【プウ美ねえさんの回答】
わたくしたち日本人は、自分たちで思うほど上手に互いの気持ちをソンタクできていません。「善意は伝わっているはず」という思い込みで言葉を惜しみ、結局は他人に甘えていることが多いのです。正面切って感謝を伝えるのが恥ずかしい、という人がいますが、伝わっていないが為に起こる不都合や、たまるストレスのほうが、もはや見過ごせない問題です。もっとカジュアルに感謝やホメを言い合える、ほがらかな社会に変えなければなりません。
「いい人だと思われたい」「感謝されたい」というのも当然の欲求です。やたらと吹聴されるのは迷惑ですが、家族に善行報告するくらい、なんら罪のないことです。『笠地蔵』を思い出してごらんなさい。「売れ残った笠をあげたよ」「よいことをしましたねぇ」のくだりがなければ、急な地蔵の来襲をうけたおばあさんのストレスが大きすぎます。「笠もろくに売れないけれど、夫は善人だ」と事前に確認できたことは、おばあさんにとっても幸せだったことでしょう。
他人に感謝をうながす方法はひとつしかありません。それは、あなた自身がたくさん感謝することです。心からの「ありがとう」を聞けば、おのずとこちらも感謝したくなるものです。おねえさんも常に「ヤラせてくれてありがとう」「イッてくれてありがとう」と、言葉で伝えています。笑顔や、拍手も有効です。何かされてもお礼を言えない人は、感謝し合うことに慣れていない気の毒な人ですから、怒ったりせず、あわれんであげましょう。
【今月のエプロンメモ】
いいことをする時は、自分自身がうんと気持ちよくなるべきです。息子さんとは「お弁当ありがとう」「(佐藤錦以外を)食べてくれてありがとう」と毎日ルーティーンとしてホメあってはどうですか。「ありがとう」を気軽に言える大人になれれば、きっと将来、息子さんもトクをしますよ。
熊田プウ助(くまだ・ぷうすけ)
1969年生まれ、ゲイ漫画家。都内でひっそりと飼い猫と暮らす日々を描いたエッセイマンガ『世界でヤろう!! おひとりホモ☆』(ぶんか社)、『世界一周ホモのたび 狂』(同)、『TOKYO中年駄ホモ生活』(同)など。
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